【Kick It Out】
そんな奴らもいるものさ。
ガラス張りの温室から、
泥塗れの戦場で踊る道化に、
冷たい石を投げつける。
錆びついた物差しを振り回し、
誰かの命懸けの羅針盤に、
ケチをつけたがるもの。
電脳の海で肥大化した、
歪な承認欲求。
傷を恐れるあまりに、
幾重にも纏ったブリキの理論武装。
「海外の地図にはこうある」と、
借り物の言葉で正義の神父を気取り、
安全圏から吐き出される、
責任なきインクのシミ。
嵐も知らない硝子の部屋で、
巨星の美しい引き際を、
若き獣の青い爪を、
憶測という名の安価な
絵の具で塗り潰そうとする。
だが、
荒野を駆ける彼らの足元に、
その紙吹雪のような
ノイズは1ミリだって届かない。
踏み荒らされた土の匂いと、
己の血骨だけで、
まだ世界の誰も見たことのない、
新しい星座を刻みに行くだけだ。
劇場のいちゃもんは、
すべてその客席に置いていけ。
張り子の虎の群れを、
その安っぽい武装ごと、
一瞬の爆音で吹き飛ばして。
光の速度で、前へ進め。
TOPICの種。
日本サッカーの未来
【緊急考察】遠藤航の離脱と引退。
町野招集の「秘策」、オランダ戦スタメン予想と3人のブレイク期待株。
北中米ワールドカップがついに開幕した。
日本中が初戦に向けて熱を高めていく中、あまりにも突然で、あまりにも重い報せが飛び込んできた。 キャプテンであり、日本の心臓でもあった遠藤航選手の離脱、そして代表からの引退。
大会直前でのこの激震は、チームにとって計り知れない痛手だ。しかし、嘆いている時間は一切ない。キャプテンの腕章は板倉滉選手へと受け継がれた。今の板倉であれば、ピッチ内外でこの重責を十分に全うしてくれると信じている。
問題は、遠藤が抜けた「穴」をどう埋めるか、だ。
世間の期待と、メディアが作り出す「ボランチ不足」の幻影
大方の予想、あるいは世間が最も期待したのは、やはりメンバー発表で選外となっていた守田英正選手の電撃復帰だっただろう。ボランチの穴をボランチで埋める。それが一番シンプルで、歪みのない形に見えるからだ。
しかし、森保監督が下した決断は違った。 追加招集されたのは、フォワードの町野修斗選手。
「遠藤が抜けたのに、なぜボランチを補充しないのか?」 素人目に見れば、そんな疑問や「なぜ?」という声が浮かぶのも無理はないかもしれない。
だが、冷静に今回の26人の顔ぶれと、これまでの歴史を見てほしい。 そもそも、前回のカタール大会でも日本のボランチ枠は4人だったのだ。
田中碧
佐野海舟
鎌田大地
瀬古歩夢(ディフェンダー登録だが、クラブではボランチとして高いパフォーマンスを見せている)
実質的に、この4人がいれば戦術的には事足りているのである。
それにもかかわらず、メディアや一部の評論家は、わざわざ「ボランチ不足の不安」を書き足して、世論を煽っているようにしか思えない。 結局のところ、彼らは戦術的な議論をしたいわけではなく、ただ単に「森保監督の責任」を追及するための材料を探しているだけではないのか。この、重箱の隅をつついて引きずり下ろそうとする光景は、まるで政治の世界を見ているようで、実に理解に苦しむ。
もちろん、これはあくまでも一人の素人の戯言に過ぎない。 サッカー関連の専門家や解説者がそれぞれの憶測で語り、自分の色を出して独自の論を展開する。それに対して、私から文句を言うつもりは毛頭ない。意見は違えども、その発言は尊重する。なぜなら、そうして世論を賑わせ、自分の視点を提示することこそが「彼らの仕事」なのだから。
ただ、彼らがプロとして自分の色を出すように、私は私という一人のサポーターの色のまま、このチームを、そして指揮官の決断を最後まで見届けたい。
監督が戦術的、チーム事情を総合的に考えて「今、必要だ」と選んだのだ。結果の責任を何一つ背負わない外野がどれだけ騒ごうと関係ない。私には批判する念など微塵も無い。
監督が戦術的、チーム事情を総合的に考えて「今、必要だ」と選んだのだ。結果の責任を何一つ背負わない外野の人間が、いったい何の権利があってそれを否定しようか。私には批判する念など微塵も無い。
運命の第1戦・オランダ戦。これが私のスタメン予想だ!
激戦が予想されるグループリーグ初戦。相手は欧州の雄・オランダ。 遠藤、三笘という投手を欠いた状態で、森保監督は一体どんな11人をピッチに送り出すのか。現有戦力のベストから逆算した、ド素人の私のスタメン予想がこれだ!!。
【上田】 【前田】 【久保】 【中村】 【堂安】 【鎌田】 【佐野】 【伊藤】 【板倉】 【冨安】 【鈴木】※(前田の位置に伊東純也の先発、あるいは後半からの爆発力に期待する形も大いにある)
◆ 鉄壁の3バックと、新生ダブルボランチの機能美
守備陣は、冨安、板倉、伊藤の3枚。これはもう世界基準、現在の日本が誇る最高峰の壁だ。新キャプテン板倉を中心に、オランダの強力な前線を完全にシャットアウトしてくれると信じている。守護神はもちろん鈴木彩艶だ。
注目のボランチには、鎌田大地と佐野海舟のコンビを予想する。遠藤の穴を、佐野の圧倒的なボール奪取力と、鎌田の卓越したゲームメイク・戦術眼で補完し合う形だ。ゲームをコントロールできる鎌田が入ることで、チーム全体の落ち着きは担保される。
私が今大会のブレイクを確信する「3人のキーマン」
基本的には26人すべての選手に期待しているし、全員を全力で応援している。 だがその中でも、「この大会で世界に見つかり、一気にブレイクするのではないか」と、個人的に牙を研いでいる姿を楽しみにしている選手が3人いる。
1人目:日本の新たな不沈空母へ――佐野海舟
遠藤航という絶対的な大黒柱が抜けた今、中盤の底で相手の攻撃をことごとく摘み取る「回収屋」としての役割が彼に懸かっている。もともと持っている圧倒的なボール奪取力に加え、欧州で揉まれてスケールアップした今の彼なら、オランダをはじめとする世界の強豪相手にも一歩も引かないはずだ。この逆境をチャンスに変え、一気に世界基準のボランチへ覚醒する姿が目に浮かぶ。彼の存在は、本当に大きい。
この大会の出来は彼と鎌田がキーマン。
2人目:ここ一番で必ず仕留める有言実行の男――堂安律
大舞台になればなるほど、そして逆境になればなるほど、ギラギラとした輝きを増すのがこの男だ。前回のカタール大会でもドイツ、スペインを相手に日本を救う一撃を叩き込んだが、彼は決してフロック(奇跡)で点を取る男ではない。どれだけ高い壁を前にしても、己を信じ、言葉にし、それをピッチの上でそっくりそのまま形にして見せる。「有言実行」を地で行く堂安の勝負強さとメンタリティは、今の日本に絶対に必要だ。
彼の提唱する8(はち)の理論で、点を決めて欲しい。
3人目:何か、とてつもないことをやってのけそうな怪物――塩貝健人
そして3人目は、サプライズ選出された超新星、塩貝健人だ。これまでの日本人のフォワード像に留まらない、圧倒的な推進力と野生的なゴールへの嗅覚。まだ世界が彼のクオリティを正確にハッキングできていない今だからこそ、DF陣を恐怖に陥れる大爆発の可能性を秘めている。大会のシンデレラボーイになる資格は、十分に持っているはずだ。
私がふと浮かんだイメージ、彼が救世主となる予感がする。
近代フットボールのロジックで綺麗に組織化されたオランダのディフェンス陣にとって、彼の予測不能な突進と、ピッチを泥臭く貪欲に疾走する圧倒的な走力は、計算不可能な「未知の脅威」となる。だが、彼の真骨頂はそれだけではない。クラブチームでも見せた、後半投入での異常な得点能力には期待が高まる。
能登への想い、そして「日本らしい」歩みの先に
何より、今回の町野修斗の追加招集を、個人的には心から嬉しく思っている。
彼は以前、田中碧選手もそうだが......能登半島の震災地を訪れ、地元の子供たちに寄り添い、笑顔の時間を共有してくれた人物だ。
そして、森保監督自身も能登の地へ足を運んでくれている。 今回の町野の招集は、能登の子供たちにとっても間違いなく大きな喜びであり、最高の勇気と希望になるはずだ。この人選の裏にある「ストーリー」にも、私は勝手に胸を熱くしている。
また、一部のファンや解説者から聞こえてくる「海外の強豪国はこうしているから」といった、出羽守(でわのかみ)的な議論にも強い異論がある。
なぜ、常に海外の真似をしなければならないのか。 日本は日本らしく、自分たちの信じた道を愚直に進めば良い。 私たちが泥臭く積み上げ、切り拓いていくそのプロセスこそが、いつか世界の新しい「スタンダード」になるかも知れないのだから。
◆ 「挨拶なき離脱」に群がる憶測と、引き際の美学
ここに来て、もう一つ外野が騒がしいニュースがある。 遠藤航がチームを離脱する際、「仲間に挨拶をせずに去っていった」という件だ。
案の定、メディアやネット上では「チーム内紛か?」などと下世話な憶測が飛び交っている。だが、大会が開幕したこの期に及んで、そんなことがあるはずがない。私から見れば、この行動にドロドロとした意味など何一つない。
これこそが、彼のプロとしての冷徹な判断であり、「飛ぶ鳥跡を濁さず」という日本人的な美意識の表れなのだ。 これから命懸けの戦いに挑む仲間たちに、余計な感傷や動揺を与えたくない。背中を見せず、スッと身を引くことこそが、彼なりの最大の配慮だったのだろう。
そして、その後のチームケアのために、吉田麻也氏や南野拓実選手がこのタイミングで合流した(あるいは、させる)のだと思う。 すべては、遠藤が静かに去るという不退転の選択を「前提」とした上で、最初から美しく組まれていたロードマップだったのではないか。そう考えれば、すべてのピースがカチリと嵌まる。
指揮官の孤独なシミュレーションと、1点にまとまった不退転の覚悟
今にして思えば、森保監督は遠藤航の状態を誰よりも近くで見つめ、最も心配していたはずだ。外野が騒ぎ立てる遥か前から、指揮官は最悪のシナリオを頭に描き、孤独に考えを巡らせる日々を過ごしていたに違いない。だからこその、この26人の構成であり、町野の準備、そして吉田や南野のバックアップ体制だったのだ。
そして、このあまりにも大きなキャプテンの離脱という出来事は、残された選手たちの心を揺さぶり、その気持ちを狂いなく「1点」に向かわせたはずだ。
「ワタのために、自分たちが日本の盾となり、矛となる」
綺麗事ではなく、この当事者たちにしか分からない極限の逆境こそが、チームを本当の意味で「一つ」にする。 この誰も予想しなかった激動の結果が、日本の未来にとって「吉」と出ることを、私は心から祈っている。いや、このチームなら必ずや吉へと変えてみせるはずだ。
そもそもスタメン陣のクオリティは完全に揃っている。三笘薫が抜けたこと以外は、何も問題はない。
我々サポーターが今するべきは、監督、コーチ陣、選手、そしてチームの覚悟を信じること。それ以外に何もない。
さあ、運命のオランダ戦。彼らの覚悟を信じて、全力で画面に熱狂しよう。
ここで改めて、今回招集されたメンバーの顔ぶれをおさらいしておきたい。
◆ W杯日本代表メンバー26名一覧
【GK(ゴールキーパー)】
| 選手名 | 年齢 | 身長 | 所属クラブ(国) |
| 早川 友基(はやかわ ともき) | 27歳 | 187cm | 鹿島アントラーズ(日本) |
| 大迫 敬介(おおさこ けいすけ) | 26歳 | 187cm | サンフレッチェ広島(日本) |
| 鈴木 彩艶(すずき ざいおん) | 23歳 | 190cm | パルマ・カルチョ(イタリア) |
【DF(ディフェンダー)】
| 選手名 | 年齢 | 身長 | 所属クラブ(国) |
| 長友 佑都(ながとも ゆうと) | 39歳 | 170cm | FC東京(日本) |
| 谷口 彰悟(たにぐち しょうご) | 34歳 | 183cm | シント=トロイデンVV(ベルギー) |
| 板倉 滉(いたくら こう) | 29歳 | 186cm | アヤックス(オランダ) |
| 渡辺 剛(わたなべ つよし) | 29歳 | 186cm | フェイエノールト(オランダ) |
| 冨安 健洋(とみやす たけひろ) | 27歳 | 188cm | アヤックス(オランダ) |
| 伊藤 洋輝(いとう ひろき) | 27歳 | 188cm | バイエルン・ミュンヘン(ドイツ) |
| 瀬古 歩夢(せこ あゆむ) | 25歳 | 185cm | ル・アーヴルAC(フランス) |
| 菅原 由勢(すがわら ゆきなり) | 25歳 | 179cm | ヴェルダー・ブレーメン(ドイツ) |
| 鈴木 淳之介(すずき じゅんのすけ) | 22歳 | 180cm | FCコペンハーゲン(デンマーク) |
【MF / FW(ミッドフィールダー / フォワード)】
| 選手名 | 年齢 | 身長 | 所属クラブ(国) |
| 町野修斗(まちのしゅうと) | 26歳 | 185cm | ボルシア・メンヒェングラートバッハ (ドイツ) |
| 伊東 純也(いとう じゅんや) | 33歳 | 176cm | KRCゲンク(ベルギー) |
| 鎌田 大地(かまだ だいち) | 29歳 | 184cm | クリスタル・パレス(イングランド) |
| 小川 航基(おがわ こうき) | 28歳 | 186cm | NECナイメヘン(オランダ) |
| 前田 大然(まえだ だいぜん) | 28歳 | 173cm | セルティック(スコットランド) |
| 堂安 律(どうあん りつ) | 27歳 | 172cm | アイントラハト・フランクフルト(ドイツ) |
| 上田 綺世(うえだ あやせ) | 27歳 | 182cm | フェイエノールト(オランダ) |
| 田中 碧(たなか ao) | 27歳 | 180cm | リーズ・ユナイテッド(イングランド) |
| 中村 敬斗(なかむら けいと) | 25歳 | 180cm | スタッド・ランス(フランス) |
| 佐野 海舟(さの かいしゅう) | 25歳 | 176cm | マインツ05(ドイツ) |
| 久保 建英(くぼ たけふさ) | 24歳 | 173cm | レアル・ソシエダ(スペイン) |
| 鈴木 唯人(すずき ゆいと) | 24歳 | 175cm | SCフライブルク(ドイツ) |
| 塩貝 健人(しおがい けんと) | 21歳 | 180cm | VfLヴォルフスブルク(ドイツ) |
| 後藤 啓介(ごとう けいすけ) | 20歳 | 191cm | SCフライブルク(ドイツ) |
BOOM BOOM SATELLITES / 『KICK IT OUT』
日本が世界に誇るエレクトロニカ・ロックの至宝。ヨーロッパのクラブシーンをも震撼させた彼らのサウンドは、まさに**「日本が世界基準(スタンダード)になった」**証明でもあります。 メディアの煽りや外野のいちゃもんといった「鬱屈とした空気」を、強烈なビートと歪んだベースで一瞬にして「KICK IT OUT(蹴り出す)」していく爽快感。泥臭く、しかし洗練された音の塊は、現在の海外組23人を擁する日本代表の獰猛な攻撃陣のイメージそのものです。
:がんばれ!ニッポン!!
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Checking for it !!.
DNAを、自らの牙で噛みちぎる。狂気と脆弱性を孕んだ、
20歳の純血オルタナティヴ。
Violet Grohl『Be Sweet To Me』
【商品紹介文の抜粋と僕の視点】
"フー・ファイターズ(Foo Fighters)のデイヴ・グロールを父に持ち、12歳から父のステージに立つなど早くから注目を集めていたヴァイオレット・グロール。彼女が20歳を迎えた直後に満を持して放つ、セルフプロデュース要素を多分に含んだデビュースタジオアルバムです。
本作は、偉大な父親の影(グランジ・ロックの血統)を背負いながらも、それを独自の感性で昇華。キム・ゴードンやチャーリーXCXを手掛けたことで知られる名匠ジャスティン・ライゼンをプロデューサーに迎え、ロサンゼルスのホームスタジオやジョシュア・ツリーのスタジオでレコーディングされました。
1960〜70年代の「レッキング・クルー」のようなセッションプレイヤーの精神で集められた腕利きミュージシャンたちと共に、生々しく、ザラついた、そして脆く美しいオルタナティヴ・ロックの新たな金字塔を打ち立てています。"
🎧 アルバム『Be Sweet To Me』 感想
一聴して衝撃を受けるのは、単なる「大物ミュージシャンの二世(ネポ・ベイビー)」というバイアスを、圧倒的な音の説得力でねじ伏せている点です。
オープニングを飾る『THUM』の、耳を劈くようなファズギターのスクロールと、ハチミツのように甘くもどこか冷徹なボーカルのコントラストは、初期のザ・ブリーダーズ(The Breeders)やピクシーズ(Pixies)が持っていた「不穏なポップさ」を想起させます。シングル曲『595』で見せるメタリックな歪みと変則的な展開は、かつて父デイヴがドラムを叩いていたクイーンズ・オブ・the・ストーン・エイジ(QOTSA)の傑作『Songs for the Deaf』のような乾いたダイナミズムを感じさせつつも、彼女独自のダークなサイケデリアに染め上げられています。
一方で、後半の『Applefish』やラストを締めくくる『Plastic Couch』で見せる、PJ ハーヴェイ(PJ Harvey)を彷彿とさせる静謐でヒリヒリとした表現力、そしてカート・コバーンのアコースティック・ワークに通じるような生々しい内省感には胸を締め付けられます。
親譲りの強靭なグルーヴ感を土台にしつつ、コクトー・ツインズ(Cocteau Twins)のようなドリーム・ポップの浮遊感までを贅沢に飲み込んだ、32分間の濃厚なオルタナ・絵巻。ただの回顧主義ではなく、「2026年のオルタナティヴ」として完全に機能している良作です。
追記:アルバムの日本盤リリースやプロモーションに合わせ、YouTubeチャンネル『みのミュージック』にて、みのくんとのスペシャル対談動画が公開されています。
基本情報:『Violet Grohl/Be Sweet To Me』
レーベル: Auroura Records(ヴァイオレット自身のインプリントレーベル) / Republic Records(UMG:ユニバーサルミュージック・グループ)
発売:2026年5月29日
特徴:90sオルタナの血統と現代の融和: ザ・ブリーダーズ、PJ ハーヴェイ、ピクシーズ、サウンドガーデン、コクトー・ツインズを公式にルーツとして公言。
強力な制作陣: ジャスティン・ライゼン(Justin Raisen)やアンソニー・ポール・ロペス(Anthony Paul Lopez)らがプロデュース。
短くも濃密な構成: 全11曲、収録時間「31分57秒」という、無駄を削ぎ落としたパンキッシュでタイトなアルバムデザイン。
爪噛み防止液から生まれた名曲: リード曲『THUM』は、彼女がスタジオに持ち込んだ「爪噛み防止マニキュア」の苦味とパッケージのレトロさからインスピレーションを受けて書かれた、ユーモアと初期衝動が詰まったキラーチューンです。
Violet Grohl - 595 (2026)
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今日の締め曲...を改め、
今日の締めの名盤 ㊵
クイーンズの路上で拾い上げた、魂の震え。
美しく壊れたこの音が、あなたの孤独をそっと肯定する。
Frog 『GROG』
📀 アルバム紹介文|『GROG』
2023年にリリースされた本作は、ニューヨーク・クイーンズを拠点とするベイトマン兄弟による、ローファイ・フォークの枠を大きく踏み越えた野心作です。アコースティック・ギターの素朴な音色に、突如として割り込む歪んだ電子音や、粗削りなサンプリング・ビート。一見するとカオスな音像ですが、その中心には常に、胸を締め付けるほどに美しいメロディが鎮座しています。洗練とは無縁の場所で、剥き出しの感情をノイズや叫びへと変換していくその手法は、聴き手に強烈なリアリティを突きつけます。完璧なプロダクションでは決して捉えられない、録音ボタンを押した瞬間の「空気の震え」がパッケージされた、2023年屈指のインディー・ロックの傑作です。
👥 アーティスト紹介|FROG / フロッグ
Frogは、ダニエルとスティーヴのベイトマン兄弟によるデュオです。彼らの音楽を定義するのは、計算された緻密さではなく、むしろ「制御不能なエモーション」と「徹底したDIY精神」です。大手レーベルのトレンドに背を向け、自室という密室で自分たちだけの音を探求し続けるその姿は、現代における孤高の職人と言えるでしょう。
彼らの武器は、ダニエルの変幻自在なヴォーカルにあります。囁くような独白から、感情の堤防が決壊したかのような絶叫まで、一曲の中でドラマチックに変化するその声は、聴き手の心の奥底に眠る孤独や焦燥を直接揺さぶります。ウィルコのようなアメリカン・ロックの正統な系譜にありながら、それをあえてチープな機材や過剰な歪みで汚していく壊し方の美学。不器用で、泥臭く、しかしどこまでも人間臭いそのサウンドは、デジタルな完璧さに疲弊した現代の音楽ファンにとって、最も信頼できる「誠実な響き」として受け入れられています。二人だけの閉じた宇宙だからこそ生み出せる、純度100%のインディー・ミュージックがここにあります。
🌟 総合評価:91点/100点
■ 詞世界 評価:★★★★★
ニューヨークの澱み、深夜のコンビニ、取り返しのつかない過去。
極めてパーソナルな詩が、普遍的な孤独を抉り出す。
■ メロディ 評価:★★★★☆
荒廃した風景の中に、ふと現れる陽光のようなメロディ。
その一瞬の美しさのために、彼らはノイズを撒き散らす。
■ 革新性 評価:★★★☆☆
「ローファイ」という手垢のついた言葉を、
再び「生身の感情」へと引き戻した、手法の再発明。
■ 完成度 評価:★★★★☆
意図的な不完全さが、
一つの巨大な意志としてアルバムを統制している。
破綻の美学の極み。
■ 普遍性 評価:★★★★☆
時代のトレンドを一切無視したからこそ、
10年後も今と同じ熱量で響くであろう強度。
■ サウンド 評価:★★★★★
空気の震え、弦のこすれる音。
高解像度な録音では決して捉えられない「音の体温」がここにある。
🌌 影響力・レガシー
『Grog』が示したのは、音楽の価値は音の綺麗さではなく、そこに宿る「意志の強度」で決まるという真理です。情報過多な現代において、彼らの「引き算」と「ノイズ」の美学は、宅録アーティストたちに多大な勇気を与えました。インディー・フォークを単なる「心地よいBGM」から、再び「魂を削る表現」へと引き戻した功績は大きく、時代に流されない普遍的な強度を持つレガシーとして、今後も長く聴き継がれていくでしょう。
FROG – Black on Black on Black
✍️ 終わりに
Frogの『Grog』を聴き終えた後、私の脳裏にはいくつかの「孤独な発明家」たちの名前が浮かんで離れなかった。
それは、かつてニュージャージーの農場でカセットMTRを囲んでいた初期のWeenであり、あるいはアコーディオンとサンプラーを抱えて街角から奇妙なメロディを届けた初期のThey Might Be Giants(TMBG)の姿だ。彼らに共通するのは、洗練への追従ではなく、密室で自分たちだけの言語をゼロから発明してしまう、あの狂気じみた「真剣な遊び」の精神である。
特筆すべきは、2026年に届けられたTMBGの新作が、驚くほど初期の衝動を呼び覚ます傑作であったことだ。かつての『Flood』や『Lincoln』で感じた、あの捻じれたポップ・センスと知的なユーモアが、再び現代の音響で鮮やかに更新されていたことに、私は深い感銘を受けた。ベテランが再びその「魔法の原点」を力強く提示した事実は、今この時代において非常に大きな意味を持つ。
その興奮の地続きで聴くFrogの『Grog』は、驚くほど彼らの血脈と共鳴する。ダニエルとスティーヴのベイトマン兄弟という「二人組」だからこそ成立する、あのあまりにも親密で、時に危ういアンサンブル。Weenがパロディの果てに本物以上の叙情性を掴み取ったように、あるいはTMBGが奇妙な歌の中に鋭い孤独を忍ばせたように、彼らもまた、二人だけの宇宙で不恰好な音の断片を繋ぎ合わせ、彼らにしか到達できない「剥き出しの真実」を描こうとしている。
ここにあるのは、美しくパッケージされた商品としての音楽ではない。兄弟が自室で格闘し、形にした「個人の魂」の震えそのものだ。TMBGが2026年に示した現在進行形の魔法と、2023年にFrogが残したこの歪な傑作。それらは時代を超えて、音楽が持つ本来の自由さを、私たちに力強く思い出させてくれる。
次回の名盤予告:アメリカの伝統(ルーツ)をノイズで解体する。21世紀の孤独と混迷を奇跡の音響で捉えた、インディー・ロックの最高峰。
本日もお越し頂き、ありがとうございました。
またのお越しをお待ちしております。
















