「Bon Vin Club "Special"」28th | レストランおいしんぼ  Petit Bon

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・2021年11月17日、ワイン会「Bon Vin Club "Special"」の28回目となる例会が開催されました。

テーマ:ボルドー

 

 

①Boizel Brut Reserve

ボワゼル・ブリュット・レゼルヴ

生産地:フランス>シャンパーニュ
生産者:ボワゼル
ぶどう品種:ピノ・ノワール55%、シャルドネ30%、 ピノ・ムニエ15%

 

ボワゼルは1834年にオーギュスト・ボワゼルによって創業され、以来5世代にわたり家族経営を続けています。
 自社畑は持たず、シャンパーニュ全域のクリュからぶどうを買い付け生産しており、大半はグラン・クリュとプルミエ・クリュです。
 土壌や気候から来る繊細なアロマを最大限に発揮できるようにし、キュヴェをブレンドする際に重要視しする事はバランスであり、瓶詰めまでにもじっくり時間をかけ、瓶内熟成は最低3年以上行います。
 明るい黄金がかった麦わら色で、繊細な泡が立ち上り、柑橘系の香りとトースト香もほのかに感じられ、キリッとした酸味の中にしっかりとした厚みも感じられます。豊かな味わいが持続し、コクのある余韻長い余韻がもたらされます。
 ボワゼルは、サスペンスの神様と称賛される映画の名監督「アルフレッド・ヒッチコック」が愛したシャンパーニュとして知られ、ゴーミヨ誌での4つ星、ワイン評論家のヒュー・ジョンソンによる3つ星等の高い評価を得ています。

 

②Chateau de Fieuzal Blanc 2009
シャトー・ド・フューザル・ブラン

生産地:フランス>ボルドー>グラーヴ>ペサック・レオニャン
生産者:シャトー・ド・フューザル
ぶどう品種:ソーヴィニョン・ブラン70% セミヨン30%

 

300年以上の歴史を持つシャトー・ド・フューザルは、ボルドーのペサック・レオニャン地区に位置し、ドメーヌ・ド・シュヴァリエやマラルティク・ラグラヴィエール等とともにこの地域を代表するシャトーとして知られています。
 フランス革命期にはド・フューザル候が所有し、現在のシャトー名となりました。1959年制定のグラーヴ格付けでは赤ワインが認定され、その地位は確実なものになります。
 白ワインは格付けこそされていませんが、品質の高さからボルドーの白の中ではトップクラスとの評価を受けています。
 熟成により黄金色がかった外観で、柑橘系の香りに、はちみつやパ完熟したイナップル、クリーミーな樽の香りが複雑に絡み合います。
 しっかりとした骨格と重みを感じさせ、味わいには奥行きが感じられ、長く続くリッチな余韻は、バニラやローストしたナッツの様な香ばしさも感じられます。

 

③Chateau La Tour Carnet 2009
シャトー・ラ・トゥール・カルネ

生産地:フランス>ボルドー>オー・メドック>
生産者:シャトー・ラ・トゥール・カルネ
ぶどう品種:メルロー62%、カベルネ・ソーヴィニヨン35%、カベルネ・フラン3%、プティ・ヴェルド3%

 

1855年のメドック格付け制定の際には第4級に選出されましたが、その後ヨーロッパ中に広がったフィロキセラにより、ぶどう畑は壊滅的な被害を受けてしまいました。
 1962年当時、破綻寸前であったこのシャトーを買収したのが運輸業で財を成していたリプシッツ家であり、ぶどうの樹の植え替え、旧式であった醸造施設の刷新を図るなど積極的な改革を行いました。また、当時シャトー・マルゴーを所有していたジネステ家の技術支援も受け、シャトーの名声を取り戻していきました。
 2000年にはパプ・クレマンなど複数のシャトーを所有するベルナール・マグレ氏が所有者となり、コンサルタントにはミシェル・ロランを迎え、ほとんどのヴィンテージでパーカーポイント90点以上を獲得するほどの、非常に高いクオリティを誇るようになりました。
 カシス、ブラックベリーのような黒い果実の香りと、メルロー由来の濃厚な果実味とオークのニュアンスが感じられ、華やかで複雑味があり、きれいな余韻が長く持続します。

 

④Chateau Pontet-Canet 2007
シャトー・ポンテ・カネ

生産地:フランス>ボルドー>オー・メドック>ポイヤック
生産者:シャトー・ポンテ・カネ
ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン70%、 メルロー25%、カベルネ・フラン4%、 プティ・ヴェルド1%

 

ポンテ・カネは、メドックの総督であるジャン・フランソワ・ドゥ・ポンテがポイヤックの複数の畑の区画を18世紀初頭に統合し、数年後、彼の後継者が「カネ」という名前の場所の近隣にぶどうの樹を追加したことから始まりました。
 1970年代前半まで低迷期が続きましたが、1975年にオーナーが現在のテスロン家に代わってから状況は一変します。老朽化していた醸造設備を一新、選果台や木製発酵樽の導入などにより、ワインのクオリティは格段に上昇します。
 ボルドーの格付けシャトーの中で最も広い畑となっており、畑はムートンの南隣と好立地で、当時の格付けは5級ですが、近年では1級シャトーに迫ると評価される程です。
 熟したプラム、クレーム・ド・カシスの香りに、トリュフや黒コショウなどスパイシーなニュアンスも感じられます。凝縮して濃厚でありながら、非常になめらかなタンニンが心地よく、美しく豊かな余韻が続きます。
 当ヴィンテージは94点のパーカーポイントを獲得しています。

 

⑤Chateau Monbousquet 2008
シャトー・モンブスケ

生産地:フランス>ボルドー>サン・テミリオン
生産者:シャトー・モンブスケ
ぶどう品種:メルロー60%、カベルネ・フラン30%、
      カベルネ・ソーヴィニョン10%

 

シャトー・モンブスケの起源は1540年に遡り、数々の所有者が土地を継承し、19世紀後半には畑は現在の広さまで拡張され、近辺で最も広い規模のシャトーの一つとなりました。
 1993年にジェラール・ペルス氏(シャトー・パヴィも所有)が購入、畑から醸造までの生産工程を革新して品質向上に取り組み、2006年にはグラン・クリュ・クラッセに昇格し、サン・テミリオンのスターの一つとなりました。
 パーカーは「1993年以降はメドックの第三級または第四級に相当する品質」と評価しています。
 カシス、ブラックベリーなどの黒い果実、そして、インク、スパイス、タバコのような複雑なアロマが感じられます。
 重厚ながら滑らかなタンニンが印象的で、シルキーな口当たりと長い余韻がもたらされます。

 

⑥Chateau Mouton Rothschild 2004   
シャトー・ムートン・ロートシルト

生産地:フランス>ボルドー>ポイヤック>オー・メドック
生産者:シャトー・ムートン・ロートシルト
ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン69%、メルロー15%、カベルネ・フラン13%、プティ・ヴェルド3%

 

今や5大シャトーの一角を担うムートンですが、ロスチャイルド家がこのシャトーを買収したのは、1853年の事でした。
 1855年、パリ万博時に制定のメドックの格付けにおいて、必ず1級を取るであろうと評されていましたが、まさかの2級に格付けされてしまいます。当時の当主であったバロン・フィリップ男爵は「1級にはなれないが2級には甘んじれぬ、ムートンはムートンなり」と言い放ち、1級になるために並々ならぬ努力を重ねました。
 そしてメドック格付けから118年後の1973年、4世代にわたる努力の末、ムートンは悲願の1級昇格を果たします。
 今なおボルドーワインの指針として存在するメドックの格付けは160年以上の歴史を誇りますが、中でただ唯一格付け変更が許されたシャトーが、シャトー・ムートン・ロートです。
1991年には白ワイン「エール・ダルジャン」の生産を、1993年にはセカンドワインである「ル・プティ・ムートン・ド・ロートシルト」の生産を始めました。
その後、国外の著名ワイナリーとのジョイントによるプレミアムワインも積極的に手がけ、カリフォルニアのオーパス・ワン、チリのアルマヴィーヴァなどが代表的です。こうした取り組みで、ムートンの知名度は世界的により一層高まることとなりました。
 ムートンのオリジナリティと言えるのはエチケットです。1945年以降毎年、巨匠美術家により制作された特別な絵画作品が記載されており、ワインコレクターのみならず美術コレクターからも注目されています。
 1979ヴィンテージは、日本人として初めて堂本尚郎氏がムートンのラベルを描きました。
 2004年のムートンのラベルを描いたのは、次期英国王のチャールズ皇太子です。南フランスの風景画だそうですが、これは英仏協商100周年を記念して依頼したそうです。
 ボルドーはその昔英国の領地であり、またこの地の赤ワインを輸出し、フランス人よりも早く好んで飲んでいた頃から現在のイギリスとは切っても切れない関係です。ムートンはまた、創始者であり現在それを継ぐ家計が英国系のロスチャイルド家である事からも英国とは深いつながりを持ち、ムートンは英国とフランスの友好にも一役買っていると言えます。
 2003年にはブラネール・デュクリュからヘッドハンティングしたフィリップ・ダルーアン氏を最高位醸造責任者に据え(現在は引退済み)更なる品質の向上に努めました。
 熟した黒系の果実、茸、湿った土、僅かにタバコのニュアンスを含むキャラメルのような香りがあり、緻密で滑らかなタンニンは果実に溶け込み、酸味も全体感の中にバランス良く存在しています。果実の風味も甘く柔らかく、複雑味と絶妙に調和して、淡く長い余韻へと続きます。