スペシャルワイン会「シャトー・ペトリュス」 | レストランおいしんぼ  Petit Bon

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ワイン、食、秋田の日々を綴っています。

1月11日、スペシャルなワイン会が開催されました!

今回のメインのワインは「シャトー・ペトリュス(1985年)」

おいしんぼの開業年と同じ、記念のビンテージです(^-^)☆

・・・・・・・・・・・・・Wine Lists・・・・・・・・・・・・・

①Egly Ouriet Vignes de Vrigny

②Egly Ouriet Blanc de Noir Grand Cru Les Crayeres

③Les Arums de Lagrange 2002

④Chateau Simard 2003

⑤Chateau Haut-Segottes 1994

⑥Chateau Petrus 1985

 

・Comments

◇エグリ・ウーリエ

ピノ・ノワールの聖地アンボネイ村に居を構えるシャンパーニュ・ドメーヌです。

1990年フランシス・エグリ氏が4代目に就任し、転機が訪れました。

ぶどう栽培から完成まで全ての工程を自社で行うレコルタン・マニュピュランであり、約5200社存在するシャンパーニュメーカーの中で3ツ星生産者と認定されるわず9社のうちの1つです。9社のうち6社がネゴシアン・マニュピュラン(大手であり、契約先農家からぶどうを仕入れシャンパーニュを造る)に対し、レコルタン・マニュピュランはエグリ・ウーリエを含む僅か3社です。他には、ジャック・セロス、アグラ・パールが該当します。

 

①エグリ・ウーリエはピノ・ノワールを主体としたシャンパーニュを生み出していますが、こちらはピノ・ムニエ100%。古樹の完熟したぶどうのみで造られるため生産量は少量で、日本に輸入されるのは1年にわずか60ケース程度と言われています。

かすかに緑がかった黄金色を放ち、ライム、ハチミツ、ハーブを思わせる香りが漂いました。極上のピノ・ノワールに迫る、ボリューム感、ミネラルも豊富に感じられました。

 

②クレイエールと呼ばれる小地区で、チョーク質に覆われた深い土壌の、平均樹齢50年の古木のぶどうから造られます。厚みのあるゴージャスなテクスチュアで、良質なミネラルがリッチな味わい全体を包み込み、程良い樽のニュアンスと共に、美しい余韻が長く続く、素晴らしいブラン・ド・ノワールでした。

 

③サン・ジュリアン村に位置するメドック格付け第3級の「シャトー・ラグランジュ」により造られる、ボルドーの白でトップクラスと名高いワインです。
ラグランジュは、ほとんど荒廃しかかっていたものの、サントリーの買収・出資によって見事に蘇ったという経緯があります。

熟成が進んでいたものの、ソーヴィニヨン・ブラン特有のレモンやグレープフルーツのようなフレッシュで酸味のある柑橘系フルーツの香りと、黄桃を感じさせる南国系のエキゾティックでボリューム感たっぷりの果実味を味わうことが出来ました。液質ややとろみを帯びており、芳醇で非常にふくよかでした。若干、紹興酒を感じさせるニュアンスもありました。

 

④シュヴァル・ブランとともにサンテミリオンの頂点に君臨すると言われるシャトー・オーゾンヌ。その支配人、アラン・ヴォーティエが所有するシャトーであり、ヴォーティエがオーゾンヌを所有する以前までワイン造りに従事していたシャトーこそが、シマールです。
ぶどう畑はオーゾンヌの丘を下りてすぐという恵まれた所に位置し、北側はシャトー・パヴィに、西側はシャトー・カノン・ラ・ガフリエールに隣接しています。
カシス、ブルーベリージャムを思わせる濃厚なフルーツやスミレの花びらのようなアロマが立ち昇りました。熟成を経た果実味は芳醇で、豊かなミネラル感が味わいを引き締め、タンニンは果実味に溶け込んでおり、しっかりとしたボディながら、非常にエレガントでした。

 

⑤1850年以来4世代にわたりムーニエ家が所有し、畑はわずか9ヘクタールのシャトーです。

女性の現当主、ダニエレ・ムーニエは、ワインメーカー、エノログ(ワインにおける醸造技術者のことで、ヨーロッパでは国家資格として認められています。)として自ら情熱を注いでいます。畑はシャトー・フィジャックやシャトー・シュヴァルブランと同じエリアに位置し粘土質の基盤土壌の上に砂質の土壌が交わる地域です。
名門ダナジュー社に特注した樽で12ヶ月熟成した後、瓶詰めされています。

セパージュに関して情報が無かったものの、作付け面積はメルロー60%、カベルネ・フラン35%、カベルネ・ソーヴィニヨン5%とありました。

ワインは、熟成し非常に柔らかくなったメルローを想像していましたが、20年以上の熟成を経てもタンニン、骨格はしっかりとしており予想外という言葉がふさわしい1本でした。

参加者様の中に「例外的にカベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高いのでは」とおっしゃる方も見受けられました。イメージとは異なりましたが、美味しいワインでした。

 

⑥ポムロールのワインは公式な格付けがされていませんが、シャトー・ル・パンとともにポムロールを代表する二大フラッグシップワインとして、世界中のワインファン垂涎の的となっています。
ペトリュスの転機は1889年、パリ博覧会で金賞に輝いたことから始りました。その名声が世界に広がるようになったのは、マダム・ルーバが単独オーナーになった20世紀半ばからです。彼女の尽力によりこのワインは脚光を浴びはじめ、やがてアメリカのケネディー、ロックフェラーといった名門ファミリーからも愛される、上流社会のステータスシンボルになっていきました。格付けもない右岸の無名ワインが、わずか100年の間に歴史ある5大シャトーを凌いで最高価格のワインになるということは、誰も予想していなかった奇跡と言えることでしょう。

"ポムロールの丘"の最上部にあるこの畑の土壌は、黒粘土という膨潤性のある特殊な粘土が表土に出ている珍しいもので、これこそがワインの決め手と言われています。
土壌とメルローの相性が絶妙なため、実に肉厚でまろやかなワインを生み出します。

トリュフや湿った土を思わせる官能的な香り、非常に複雑な風味は、まさに特別な"テロワール"がもたらすものとしか言いようがありませんでした。

一般的にメルローは柔らかいと言われていますが、ペトリュスに限っては当てはまらず、最低でも30年の熟成が必要と言われるとおり、果実の濃縮感は時を経ても失われおらず、まるでジャムのような粘り気と圧倒されるような力強さ・存在感を保っていました。まだ5~10年の熟成にも耐えられるでしょう。むしろそれにより、ペトリュスの持つ魅力がますます引き出されるのではないでしょうか。

 

ロマネ・コンティ同様、ペトリュスも「飲むより語られる方が多いワイン」と言っても過言ではありません。

このワイン会が行われた日に、次回のスペシャルワイン会を企画いたしましたが、即座に定員となりました。

ペトリュスとポムロールの双璧をなす「シャトー・ル・パン」が登場します。