『以下同文』
電車に乗り込むと
イヤホンもつけずに
携帯電話で
お笑い番組を見ている人がいた
放り出した足と
汚れた靴が
だらしなく散らかっていた
窓の外は
もう真っ暗闇で
海が見えるはずなのに
真っ黒い一面の壁となって
どこまでもしつこく
つきまとっている
一日着たブラウスの
襟元が妙に気になって
一日履いたストッキングの
白すぎる色が気になって
満員電車の中
どんどん小さくなっていく
手の中で
切符はぼろぼろ
こぼれ落ちている
どこへ行くのか
まだ決めていない
たとえ無人の駅で降りても
吸い込まれて行く
楽しくて
清らかな
繁栄に
人を怒らせないことに
人を苛立たせないことに
人を待たせないことに
人を立ち止まらせないことに
スローモーションでも駆けていく
誰かは誰かを 追いかける
そうしていないと
生きていかれない
そうしていないと
生きていかれない