『知り合いが産んだ赤ん坊』
赤ん坊に会いに行く
電車やバスを乗り継いで
目的地には旗が立っている
子宮からねじり出てきた
赤い体を
空気に印刷しているしるし
手みやげ
直射日光にほ照らされて
紙の持ち手が汗でゆるんでいる
知り合いが産んだ赤ん坊は
不思議そうな顔をして
母親の乳首を探す
わたしの乳首は擦れ
ミルク色をした感傷をわたす
母親の乳首を吸う
口と舌を器用に使って
本能のままに吸う
腕に抱く
ずっしりとした重み
赤ん坊は
不機嫌そうな顔をして
やがて泣きだし
糞尿のおしめを取り替えてもらう
目的地には旗が立っている
子宮からねじり出てきた
赤い体を
空気に印刷しているから
赤ん坊が印刷されたしるしは
まとまった枚数の
優しい絵本になって
読み聞かせると
彼女は目を輝かせ
初めて出会った物語に
心奪われる