愛知の民間施設に入っている叔母がベッド脇で転んで瞼の上を切ったと連絡がありました。
おととしも老健に9ヶ月ほどお世話になっているあいだにベッド脇の簡易トイレを使おうとして2回転倒して、そのうち1回は股関節を骨折して手術を受けました。
結局足腰のリハビリは成らず、要介護2で民間施設に移りました。
叔母に電話して「何処かに行こうとしたの」と訊くと、
「うちって犬飼ってるでしょう。犬がどうしてるかと思って。放っておいて、人を噛んだら大変だし、どうしてるかと思って」といったことを言っていました。
子供のいない叔父と叔母は40年以上前に一軒家に住んでいたとき、ジョン(犬種セッターという中型犬)という犬を飼っていました。
ジョンは私がまだ小学生だったころ愛知から叔父の車に乗って東京のうちまで来たこともありました。
一度家から逃げ出して、路地で走り回って捕まえようとする叔父に何度も体当たりし叔父が倒れたりして大捕物でした。
どうやら叔母の記憶は幸せだった頃の過去の時点まで戻って来てしまっているようです。
叔母の脚は筋肉が落ちて枯れ木みたいに細くなってしまっているのと、今回脳のCT検査で脳梗塞を起こした跡がいくつか見られるということで立つとフラつくのもそのためだろうというのが医師の所見でした。
一方でうちの母も昨年の夏の終わりから「ここって誰の家!?」「あした名古屋に帰る」と言うようになりました。
毎日WEBカメラで実家の様子を観ながら、オロオロする母に「そこは自分の家。他に帰る所ないよ!」と繰り返し言って聞かせる日々が続いています。
パソコンに例えると本体が壊れて、何年か前に取っておいたバックアップで復旧したような状態です。
しかもハードディスク書込みは毎回エラーなので新しい事は覚えないし、記憶しておいたファイルも一部壊れているので間違った情報を毎回取り出して来る。
そして私の方は母や叔母から聞いたことを覚えていて、毎回ふたりに繰り返し話して聞かせるという補助記憶装置の役目をするのが日課になっています。