スローウォーキング47「のど飴とハズバンドの献身」 | メトロガイド「いい店見つけた」椎名勲の凡夫荘便り

私が気管支喘息に苦しんでいるときに、ワイフが38度の熱を出した。

ワイフが、かかりつけ医に診てもらうと、検査結果は、コロナでもインフルエンザでもなく、単なる「風邪」との診断だった。但し、悪いことに、巣鴨で流行っている「巣鴨風邪」は、1か月ぐらいグズグズして治らないらしい。


・・・現代日本社会は、「老々介護の時代」と言われている。

わが家にも、いよいよ、そーゆー時代が訪れてきたようだ。

(注)「老々介護」とは、高齢者が高齢者の介護を行うこと。日本の総人口約1億2500万人うち、約3600万人が高齢者で、高齢化率は30%弱。介護が必要な世帯のうち、老々介護は50%以上を占める。(2019年、厚労省調査)

夫婦二人とも同時に病気になって一番困ることは、「ゴミ出し」と「食事」だ。洗濯と掃除は、しばらく、目をつぶればいい。


文京区のわが家は、マンションでなく、一軒家だから、

ゴミは、毎週決められた曜日の、決められた時間(わが家は午前8時)の、決められた路上に、キチンとまとめて置かなければならない。置いて間もなく、ゴミ収集車が集めて行く仕組みだ。

ゴミ出しに間に合わなかった場合は、次のゴミ収集日まで、待たねばならぬ。


「食事」は?

ハズバンド「お腹空いたネ」

ワイフ「寝ているだけだから、私は、お腹、空いてない」

ハズバンドも寝ているだけだけど、何故か食事時になると、お腹が空く。

ハズバンド「僕は、お腹空いた」

ワイフ「私は、空かない」

ワイフは、ベッドから出ない。

ハズバンドは、むっくり起き上がって、キッチンへ行き、のど飴を舐めながら、ゴソゴソやる。(気管支喘息の激しい咳のせいで、喉がヒリヒリするから、のど飴を舐めるのだ!)

やがて。

ハズバンド「『おやじ』が『おじや』を作ったけど、キミも食べる?」

ワイフは、(ハズバンド渾身のジョークに)ニヤリともせず、「そうね、頂くわ」


現代日本社会は、「老々介護の時代」と言うが、

「女性の時代」とも言う。

ああ。

・・・私どもを生かして下さるなにものかに、心から感謝します。