今まで余裕で生きてきた人が、鼻歌ま

じりで歩いて生きてきた人が、ある日

唐突に、いかに自分が薄氷の上を歩いて

いたのか、自分の拠っていた価値観が

脆弱なものであつたかに気づき、愕然と

し、怖しい思いに囚われる。。と言う事

は、そんなに稀な事ではないと思う。

もう何年も前に、私も似たような経験を

した。もとから自信のあるタイプの人間

ではないが、その時立っていた場所から

さらに何段か転げ落ちた気分だった。

半年以上、拠るべきものがみつからず、

呆然としていた。しかしそのうち、落ちた

場所での「やり方」を少しずつ覚えて、気

がつけば、それが普通の状態になっていた。

今また私は去年から続く価値観の崩壊の中

にいるが、それでも最初の頃よりは、なん

とか日々が過ごせるようになってきた。

こういった事が成長なのか。或いは退化

なのか。或いはそのいすれでもないのか

分からない。しかしただ言える事は、こう

いった事があっても、死ぬまで歩く事を

止めてはいけないのだろう。