早いもので、9月ももう半ばを過ぎました。

 

いろいろ問題が片付かないまま、時間だけが経過していくのが怖くもありますが、一方、楽しみの1つとして、NHKラジオ講座10月号テキストが発行されました!

 

フランス語、ロシア語とも、初級編は昨年度の再放送ですが、応用編が新作で、9月号のテキストの巻末で、簡単な内容紹介はあったのですが、テキストを確認するのをとても楽しみにしていました。

 

初見でのそれぞれの講座の感想を。

 

フランス語

 

新作の応用編 「Art de la paroleを学ぶ~ラ・ブリュイエールを読む」

逸見龍生先生/ロラン・スレット先生

 

ラ・ブリュイエールの『ひとさまざま』の文章を取り上げます。

古典文学作品なので、内容がかなり読み取りづらいかも.....?と思っていましたが、さらっとテキストを見る限りでは、それほど読みづらい感じではなさそう...? 1回で取り上げる分量もそれほど多くなく、解説もしっかりしている感じなので、しっかり味わって読めそうです。

 

第1課はこういう感じ ↓  なぜか下の方にLeçon1のみ、テキストと放送で構成が異なると注記があるのですが、取り上げる文章の内容までは変わらないのではないかと思います。

 

 

特徴的だと思ったのは Explication de text というコーナーがある点です。第1課のテキストの中で、このコーナーについて語られているのですが、それによると「直訳すると『テクストの説明』を意味しますが、単なる説明にとどまりません。この方法は、文学作品の一説がどのような文脈で、いかなる表現技法や修辞を用いて構成されているかを分析し、その効果を知的に理解していくための精緻な技術です」とされています。

 

第2課以降のテキストの中では、このコーナーは対話体で、テキストの表現に込められた意味や描写されている内容の解釈など、内容に深く踏み込んで解説するようなコーナーでした。「番組内容に即した大意と補足的な説明を掲載しています」とされているので、きっと放送では、テキストに記載された内容がそのまま語られるのではなく、もう少し詳しく解説されるのではないかと思われます。単に仏文を日本語に訳すというだけでなく、がっつり文学としての解説も聞けそうで、すごく楽しみです。

 

第1課は、テキストの内容ではほかに、作者であるラ・ブリュイエールや、『ひとさまざま』という作品そのものに関する解説もあります。

 

第2課以降では、テキストの中の表現を取り上げた文法解説もあります。

 

会話に活かすような要素があまりないので、文学作品に興味を感じられるかどうかで好みは分かれそうな講座かなと思いますが、私はテキストを見る限り、すごくワクワクしています(もともと、私がフランス語の勉強を始めたのも、「文学」ではないですが、フランス語で文章を読む必要があったからなので)。

 

 

ロシア語

 

新作の応用編は「Назад в СССР ~知られざるソ連への旅」

神岡理恵子先生 / ナターリヤ・ハルシャイ先生

 

9月号テキストの巻末で見た説明では「ソ連時代の大衆文化の世界へ。現代ロシアにも影響を与える当時の文化や、今に生きる会話表現などをご紹介します。」となっていたので、会話文的な内容もあるのかな、と思っていたのですが、どうも10月号のテキストを見る限り、テキスト本文は会話ではなさそう・・?

 

第1課はこんな感じ   ↓

 

 

 

 

 

ソ連の大衆文化や市民生活をテーマにしていくということで、毎回テーマについて文章があり、それを読んで、さらに「表現を使ってみよう!」というコーナーで文章の中で使われている表現や文法項目を使った例文で学習する項目があるといったような構成で、これまでの応用編の講座と構成は大きく変わらないように思うのですが、文学作品を取り上げた回よりは、毎回の内容も短めだし、単語や表現の解説も多くついているので、何とか語句を確認しつつ読んでいけそうかも?と思いました(でもその時の状況にもよると思うので、ついていけるかどうかは未知数です)。講座の紹介文に「会話表現」と書かれていたのは、たぶん「表現を使ってみよう!」のコーナーのことかなあと思いました。

 

そんなわけで、講座の紹介文を読んで想像していた内容とはちょっと違う印象でしたが、テーマ自体はソ連時代の文化を取り上げるということで興味深いものがあります。テキストの説明によれば、大衆音楽や大衆向け映画についても積極的に紹介していく、とあります。

 

10月号のテキストでは、ソ連のスローガン / メーデー祭 / 新年 / 3月8日の祝日 / スチリャーギ / 黄金の若者たち / 骨の上の音楽 / ラジオと冷戦 というトピックが取り上げられていました。

 

3月8日の祝日(国際女性デー)は、これまでの番組の中でも話題に出ていたことがあったと思いますが、スチリャーギって何だろう…?と思ってさらっとテキストを見ると、第二次大戦後にソ連の大都市に現れた、西洋音楽を好み自分のスタイルで踊ることを好んだ若者たちのことらしいです。「黄金の若者たち」は、スチリャーギの中でも裕福で影響力のある家庭で育った恵まれた若者たちのこと、そして「骨の上の音楽」というのは、1950年代に、音楽愛好家の間でレントゲン写真にレコードをコピーする方法が登場し、これにジャズやロックンロールといった、禁じられた西洋音楽のレコードが作られたことを表現しているようです。

 

ソ連時代、閉鎖的でよくわからない国、ちょっと怖そう、といった印象がありましたが、こういう内容を見ていると、どんな国でも、体制にはまりきらない若者がいたり、国が他国の文化を禁じても、良いと思うものは取り入れて行こうとする人たちがいたんだなあ、と感じ入ってしまいます。

 

ロシア語のテキスト自体についていけなかったとしても、放送は何とか続けて聞いていければと思いました。

 

 

フランス語もロシア語も、単に「語学」や「文法」を学ぶだけではなく、語学を通じてその国の文化(文学も一つの文化的所産です)を学べるような内容になっているのが嬉しいところです。

 

10月以降の放送を楽しみに待ちたいところです!!