宮大工千年の知恵―語りつぎたい、日本の心と技と美しさ/松浦 昭次 | Bon livre –いつか最良の一冊と出会う–


宮大工千年の知恵―語りつぎたい、日本の心と技と美しさ


長い腕』に文献として出てきたこの本、
大き目の本屋さんで探したが見つからず…。
しかし、地元の図書館の閉架にあったので、さっそく借りた。

予想以上におもしろくて、「かっこいいー!」連呼したよ。

宮大工の松浦さんが、その仕事と中世建築の魅力を語ってるのだけど
職人の美学と、手がけたものへの愛情に溢れてた。

100年200年前の大工の仕事を読み取って、
100年200年後に残るように修理していく。
そうやって千年も誇りたっている建築物がある。

この修復の仕方が正しいのか、この材料が有効なのか、
学者の論理と大工の目のどちらを信じるのか。
その答えはまた100年200年後に出る。

単位がちがうよね。自分の死後のことまで考えてる。
Webなんて今その瞬間だけの仕事だから、むなしいときあるもんなぁ。

中世が大工の技術が最高潮だったときで、その後は退化しているという。
文明が進歩している現代の技術や道具、部品がいいわけではないと。
今はなんでもスマートになりすぎて、何百年も耐久できないと。

意外な話だったなぁ。機械化が進めば人間の腕が落ちるのは当たり前か。

とにかく1ページごとに驚いたり感心したりで飽きなかった。
中世建築は和風美人、日光東照宮などは厚化粧のオバちゃんて!
それなら最近建ち並ぶビルなんかは、整形美人て感じかしら?

最近の建物のデザインは面白味がないように思える。
たぶん私も寺社仏閣が好きだから、コンクリートの箱を好きになれないんだな。

地元にも新しい住宅がどんどん建ってるけど、
学校?刑務所?なんかの収容施設?って感じの見た目でがっかり!

これを読んだら、昔の宮大工は仏様を祭る信仰心の強さから
より美しくより丁寧にと、時間と手間暇をかけて寺院を建てていて、
現代のビルや住宅を同じように想いを込めて建てられないのはわかるけど。

日本の木の文化が中世建築を支えていたのが、
今はそんな良質な木材が手に入らないとか。

わざと中心をずらし、目の錯覚を利用して美しく見せるとか。

感銘を受けたところを書いていたら、ほぼ全ページ模写することになっちゃう。
興味のある方はぜひ読んでみてください!

厚かましくも、自分の仕事でもそういうことある!って
共感できることもあった。事件は現場で起きてるんだ的なやつね。

寺社を見る目も変わるなぁ。あー、京都行きたい!