東日本大震災 消防隊員死闘の記/南三陸消防署、亘理消防署、神戸消防局、川井 龍介 | Bon livre –いつか最良の一冊と出会う–


東日本大震災 消防隊員死闘の記


災害救助について、すこしでも知っておこうと思いまして。

南三陸の隊員の方は、先輩や同僚を亡くしたことを悔やみ、
神戸市消防局の方は、すぐに活動ができなかったことを悔やんでいる。

どの隊も、体力仕事だというのに食事も睡眠も休息も満足にとれず、
雪が降るような気候のなかで泥水に浸かりながら捜索を続ける。
そんな過酷な状況にもかかわらず、
被災者のことを第一に考えて活動される姿には、本当に頭の下がる思い。

だってさ、そこまでしているのに、まだ
「自分にはもっと出来ることがあったんじゃないか」って
自問自答されているんだよ。

『ヤジ馬は帰れ』っていう看板にも、自省したりしてさ。
私だったら、「ほんとだよ、邪魔すんな!」って怒っちゃうよ。

子供の無事は確認できたが、そばにいてやれないことで
「もし自分が消防隊員でなければ…」と悩む男性、
救助に出た息子が殉職したことで
「もし息子が消防隊員でなければ…」と嘆く父親。

誇りと責任をもって職務に当たられている、またはその真摯さを知っているから、
「消防隊員でなければよかった」とは絶対に言わないが、
家族が大切なのはみんな同じだよね。

もし有事の際、夫が災害派遣されて心細くても、
本人もそういう気持ちなのだと理解して私が子供を守らなければ。

自身も被災し、身近な人を亡くしたり、故郷が壊滅状態になった
南三陸消防署、亘理消防署の方々の話も痛ましかったが、
「阪神・淡路大震災のときの恩返しを」と出動された
神戸市消防局の方々のもどかしさも、本を通してずっしりと伝わってきた。

被災地をたらい回しにされ、1分1秒でも早く救出に向かいたいのに
何もできずに転戦だけを繰り返すことへのいらだち。

「阪神・淡路のときとまったく状況が違う」と書かれている方が多い。

阪神・淡路では、倒壊した家でも、ここらへんが寝室だから…と
人のいそうな場所が推測できたが、
今度の東北は津波の被害が甚大なため、家の間取りを把握するどころか
どこに建っていたのかすら解らない瓦礫の山だったとのこと。

たとえ命は救えなくても、遺族のもとへ帰してあげたいという望みすら
なかなか果たすことができない。

私から見れば、余震や津波、そのうえ原発の爆発という危険もあるなか、
自分の身体をこんなに酷使して、被災者のために全力を尽くして
なんて立派なんだろうと尊敬の気持ちしかないのだけど、
どの隊員の方も無念さが全面にあるんだよね。

いま離れた土地で研修に励んでいる夫は
「東京に帰りたい」なんて甘えることもあるけれど、
いざとなったら、この隊員の皆さんのように誠心誠意、職務にあたるだろう。

雨の中の10kmマラソン、きついだろうけど
かわいい娘がお腹のなかから応援しているぞ。ボコボコ蹴りすぎだぞ。