ウーマンズ・アイランド/林 真理子 | Bon livre –いつか最良の一冊と出会う–


ウーマンズ・アイランド (マガジンハウス文庫)


※ネタバレふくみます。

『今どき都会に住んでいる大卒の三十一歳の女で、
 年収三百万というのはなかなかいないに違いない。』

まじかよ!どこの東京だよ!えっ、パラレルワールドかな?
…と愕然としたけど、わたし大学出てなかったや。てへっ☆

林真理子さんが描く女性は、いつも自分とは別世界の住人たち。
だからこそ、同じ歳でも同じ女でも、こんな考え方もあるんだ、
こんな生活をしている人もいるんだーと、おもしろい。

広告代理店勤務、出版社勤務、レセプショニスト、女優、歌手など、
多くの女たちが憧れる職業に就く女たちを描いた短編集。

キレイなキャリアウーマンと私、なんでこんな違うんだろうーって、
進学も就職もちゃんと考えて、オシャレにも気を遣ってて、
人間として根本的にぜんぶ違ってた。

大学より専門学校行くことが、金銭的に親孝行になると思ってた私のバカ!
生涯年収とか知らなかった私のバカ!
デザイン職でも、デザインを重点的に勉強した専門卒より
畑違いの学科を出た大卒のがお給料高いって知らなかった私のバカ!
デザイン職でも大卒以上しかとらない会社があるって知らなかった私のバカ!

まぁいいや、バリバリ働くより家庭を作ることのほうが夢だったし。

唯一の主婦である留美は、夫として「いい男」をこう定義づける。
「収入が多く、社会的に通りのいい男」。それが自分にハクをつけると。
私にとっては私の夫が最高の結婚相手と思ってるから別にいいや。

都心の億ションとか、非現実的すぎて、もはや羨ましいとすら思わない。
鈴木京香さんみたいな容姿だったらなー。
当たり前よって顔で享受するけどなー。

メロンとか半額になってなくても買えるんだろうなー。

三十代独身女性のキリキリした人生を描いた小説が多いなかで
(この小説にも多少の焦りや不安を感じているひとはいるけど)
それなりに満足して生きている女性ばかりなのは爽快だわ。

これを読んで、カッコいい仕事に就くぞー!
オラ東京さ行くだー!って発奮する女性がいたら、とても楽しいな。