RAILWAYS/小林 弘利 、錦織 良成 | Bon livre –いつか最良の一冊と出会う–


RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語 (小学館文庫)


※ネタバレふくみます。

仕事量が多くて、「いけいけどんどん」な状況に苦しんでいたとき、
先輩に「こんなやり方じゃ楽しくないです」と愚痴ったら
「仕事に楽しさなんか求めちゃだめだよ」といさめられた。

そのとき納得できなかった思い。そしてこれを読んで思った。
仕事は楽しいほうがいいよなぁ、と。

幸いなことに私は、小さい頃からの夢をちゃんと仕事にすることができ、
WEBページが公開されれば、家族や友人に見せて
「これ!ここのイラスト、私が描いたの、かわいかろう?」と自慢している。
子供の頃から変わっていない。褒められたくて、自慢しちゃう。

肇にとってはそれが、一世一代の叶えたい夢だったんだよなぁ。

某メトロ線の駅員さんたちに、この本を読ませたいわ。
無愛想で不親切、乗客を客とも思っていなさそうな彼らに。
肇みたいな駅員さんだったら、ちょっとくらい電車が遅延しても許せるのに。

辞表を出してからの辞めないでの流れ、ベタだけれど思わず涙が出た。

男の子って本当に電車が好きだよね。友人の息子くんもそう。
カナルカフェっていう、中央総武線沿いのオシャレなデッキ席でランチしたとき、
電車がくるたびに「でんしゃー!でんしゃー!」って大騒ぎ。

兄に影響されたのか、2歳の妹ちゃんも電車好きなようなんだけど、
電車が来るたびに「おとーしゃんおとーしゃんおとーしゃん!」って叫ぶの。

あれは、大好きなお父さんに素敵な電車を見せたいのか、
お父さんも男だから電車が好きにちがいないと教えてあげているのか、
それとも電車をお父さんだと思っているのか、どれだろう?

島根を舞台にした、古い2両電車のお話。心がゆったりと、温かくなった。

ひとつ疑問なんですけど、川平の遺された家族はどうなったの?
病気の息子を抱えて、大黒柱を亡くして、お母さんどうしたの?
好きなことを仕事に出来たー!幸せー!で終わって、「えっ?」ってなった。

毎日満員電車で潰されていると、こんなのんびりした町に住みたくなってくるなぁ。