九つの、物語/橋本 紡 | Bon livre –いつか最良の一冊と出会う–


九つの、物語 (集英社文庫)


最近、作家の橋本紡氏が「作家をやめる」とTwitterで発表し、話題となった。

>> 現役作家 橋本紡さんのプロを辞める理由がTwitterで話題に

理由は、「市場の縮小」とのこと。つまり、本が売れない。
橋本氏は、「若者の人口が減ったのだから仕方ない」という。

それに関しては。私は読書が大好きだけれど、小説を購入することはめったにないのです。

読む量が多いので、経済事情と家の狭さを考えると、
よっぽど何度も読み返すとか、装丁が好きとかじゃないと、買えないのです。

小説はもっぱら図書館で借りる。借りて読んで返してまた借りる。

本好きの同僚に、俺は図書館ってよくないと思う、と言われたことがある。
作家にお金が入らないでしょう、と。
それに対して私は、貧しいひとも平等に知識や文化を得られることは、
知的レベルや社会性の底上げに重要な役割があるのです、と答えた。

それを今も間違ってはないと思う。思うけど。申し訳ない気持ちになったのも事実。

私はいつか子供が生まれたら、本棚に
小路幸也さんの『東京バンドワゴン』や重松清さんの『流星ワゴン』、
(別にワゴンコーナーを作りたいわけじゃない)
百田尚樹さんの『永遠の0』、秋山香乃さんの歴史小説などを並べたい。
自然とよい作品に触れてほしいから。

私はこのままいけば、橋本氏のいうところの
「さまざまな統計によると、日本の二十代、三十代の三割くらいは、結婚することも、子供を持つこともありません」
の三割に入る可能性が高いので、夢のまま終わるかもしれないけど。

たくさんの作家さんにたくさんの良作を生んでもらいたい。たくさん読みたい。

たとえば日本の英語の授業は文法にばかりこだわるから、
実践で喋れないひとが多いと言われるが、国語だって同じじゃないかな。

教科書にはたくさんの物語が載っていたけど、漢字の練習や熟語の索引ばかりで、
どういうところが名作といわれるゆえんなのか、どの言葉がおもしろいのか、教えてくれない。
テストの『作者の気持ちを答えなさい』っていうお題だってさ、
作者当人でもない先生たちが○×をつけてる。本心なんてわからないのに、決めつけてる。

小さなころからいくらでも楽しさを覚えさせられれば、大人になっても読む習慣がつくのにね。
『九つの、物語』でも、読書好きの兄に影響されて、ゆきなもよく本を読むじゃん。

あとは、私みたく子供を産みたくても相手がいない人間を、
どうにか結婚させることです。どうにかしてください。
溝端淳平くんに早くプロポーズにくるよう言ってください。