東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン/リリー・フランキー | Bon livre –いつか最良の一冊と出会う–


東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン (新潮文庫)


九州弁てずるい。
吉田修一さんも、さだまさしさんもそうだけど。九州弁のセリフはずるい。
九州出身じゃなくても、妙にノスタルジックな気持ちになるのに、
それに「上京」だの「オカン」だの付けてくるなんて、すごくずるい。

どうせ泣かしに来るんだったら、こっちから行くまでもない!と
読む機会があったら読むよくらいの上から目線でいて(ひとり相撲)、
あるとき図書館で見つけたので、ついに対峙する時が来たか…と手にとったわけです。

泣いた。強がりとかしないタイプだから。素直に泣いた。それみたことか!って言った(誰に?)

リリーさんてふざけたオッサンだと思ってたから余計に。
これでまたモテたんだろうなぁ。女の子寄ってきただろうなぁ。この入れ食い息子が!

なんでだろうね?なんで忘れちゃうんだろう。こういう小説を読んで思い出すの。
親が老いるということ。昔のようには動けないということ。いつかいなくなるということ。
当たり前のことを思い出すために、こういう当たり前に感動させにくる小説が世の中には必要なの。

自宅に忘れ物をして父親に届けに来てもらったとき、20メートルくらい近さにいる父に気づかず、
しばらく探したことがある。あんなにも老けてたなんて、家では気づかなくて、愕然とした。

あの時の怖さ。自分はいつまでも子どものつもりなのに、数十年の時間が確実に流れている怖さ。

笹塚、一時期通ってたなぁ。終電間際に今から来いって電話かかってきて駅まで走ったり、
約束ドタキャンされて仕方なく家に帰ったらやっぱり今から来いって呼び出されたりして。

あんな俺様なひと、他に会ったことない。俺様っていうかお子様?
わがままなこどもって感じだった。見た目はいかついくせに、なんだか可愛いく思えて、許しちゃう。
その彼のわがままの数々を同僚男性に話したら、一発殴ってやる!ってみんな激怒してたけどね。

友達の先輩で笹塚に住んでたひとも、母性本能くすぐる系甘ったれダメ男だったんだよなぁ。
それに加え、この“ボク”。だから笹塚ってそんなイメージ。笹塚に住んでる男のひとって。
駅名を“甘えんぼう笹塚”とかに変えてほしい。

東京タワー、一度上ってみたいなぁ。下を通ったことは何度もあるけど。

デート当日に二日酔いで連絡つかなかった彼(笹塚とは別の人)が平謝りしてきて、
後日どこでも好きなとこに連れていってあげるというので、東京タワーと水族館をリクエストしたら
なぜか横浜で映画『ヤッターマン』を観させられたことはいまだに謎です。
まったくかすってないんだけど。全然ヤッターヤッターじゃねえよ。

これだから福岡の男は!これだから上司から福岡の男とは付き合うなって注意されるんですよ!