産んでみてわかったリキ…「燕は戻ってこない」第9話、最終回 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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私めはリキ(石橋静河)が代理出産をして、いざ産んでみたらどうなるか、そこの葛藤を描いてくれるものと期待していましたが、




なかなか出産に至らず、結局最終回でようやく出産。そこからは駆け足で終わってしまいました。




9話の内容が不満だっただけに、9話で産んで、9話と最終回でもっと丁寧に出産後を描いてほしかったです。




NHK  火曜22時

「燕は戻ってこない」第9話、最終回


主演…石橋静河

脚本…長田育恵

演出…北野隆(9)、田中健二(終)




最後まで見終えて、「…で、タイトルの意味は?」と改めて考えてしまった私め。

いい加減なことを書いてはいけませんので、原作者の桐野夏生は何と言ってるのか今さらながら調べてみました。




原作者いわく

「戻ってくると思っていた燕が戻ってこない、というのは不穏で不吉かもしれませんが、逆に言えば何物にもとらわれず自由になることなのかもしれない。タイトルは両義的、多義的なものが好ましいと思うので、これに決めました」




それを知って9話と最終回の記事を書くにあたり、双子の赤ちゃんが産まれたことで考えが変わったリキと悠子(内田有紀)の対比がなるほどなと思いました。




悠子が基(稲垣吾郎)に愛想を尽かし、別れたいと言っていたのに、いざリキが産んでくれた赤ちゃんを見たら、自分で育てたくなってしまう…というのは、




せっかく巣に戻らない自由を手にしかけたのに、母親になりたいために草桶家にまた縛りつけられてしまう…ってことで、巣に戻ってくる燕のようなものってことなんでしょうね。




対して、リキは悠子の代わりに、1年は産まれてくる赤ちゃんを育ててほしいと草桶親子の身勝手な願いに、




産んでみないとわからないと言ってましたが、いざ産んだら、自分が産むためだけの機械のように扱われるのに抵抗を感じ、




双子の女の子の方を連れて、りりこ(中村優子)の家を出て、リキはどこかへ言ってしまいます。




もうりりこのもとへも、草桶夫婦のもとにも戻ることはないでしょう…というラストでした。




何となく流されて、人の言いなりで生きてきたリキが、ようやく自分の意志で、前に進み出す姿に成長を感じました。





1人連れ去られて草桶一家の慌てぶりを見たかったですけどね。




リキは出産を甘く見ていて、双子だからもあって、お腹の妊娠線はひどいし、早くに破水し帝王切開になり切った跡は残るし、産後も高熱に悩まされるし…




それなのに能天気に産んだリキより先に赤ちゃんを見てはしゃぐ草桶夫婦には呆れるばかりでした。





1歳くらいまでなら記憶に残らないから、リキに赤ちゃんの面倒をみさせても大丈夫という草桶家の申し出にもゾッとしました。




このドラマ、代理出産をめぐる人々の思いの生々しい交錯にひきこまれました。




特に千味子(黒木瞳)のめちゃくちゃ自己中な身勝手発言の強烈さや、




当事者ではないのにクビをつっこみ、自説を押し付けてくるようなりりこの我の強さや、




だんだんとまともな考えになってきた基の成長ぶりや、




脇キャラが面白かったです。

終盤はエージェントの青沼(朴瑠美)が出て来なかったのは残念でしたが…。




デリケートで扱いが難しいテーマに挑んだスタッフ、キャストに拍手を送りたいです。




9話の評価は…7

最終回の評価は…8