去る9月2日、ゼンノロブロイが22歳でその生涯を終えました。死因は心不全とのことですが、最期は苦しむ様子もなく安らかに息を引き取ったと報じられています。
さて、ゼンノロブロイの名を聞いてまず思い浮かぶのは、やはり秋の古馬三冠制覇でしょう。同馬が天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念の3競走を同一年に勝ち取ったのは2004年のことでした。2000年のテイエムオペラオーに続く史上2頭目だったこの快挙。達成馬は今もって、そのテイエムオペラオーとゼンノロブロイの2頭しかいません。
ちなみに、3競走のうちの2競走以上を同一年に制した馬は、この路線が確立された1981年以降の40年で10頭を数えます。下記の一覧表を眺めるにつけ、その錚々たる顔ぶれなかで一歩抜きんでたゼンノロブロイの偉大さを、改めて思い知らされます。
ところで、これら10頭のうち、ゼンノロブロイまでの6頭(シンボリルドルフ、スペシャルウィーク、テイエムオペラオー、シンボリクリスエス2回、ゼンノロブロイ)はすべて秋の三冠を戦い抜き、敗れた一冠にしても、2着、3着とその実力を示しています。
しかし、2006年のディープインパクト以降の4頭(ディープインパクト、キタサンブラック、アーモンドアイ、エフフォーリア)を見ると、秋の三冠を戦い抜いたのはキタサンブラック1頭のみ。残る3頭は、あとの一冠をパスしています。凱旋門賞遠征、現役引退など理由は様々ですが、いずれにしても近年、この秋の古馬三冠を皆勤する馬は減少傾向にあるようです。
それを物語るのが6年前の2016年で、この年、天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念の3競走を戦い抜いた馬が初めてゼロになりました。秋の古馬三冠路線が確立してから実に36年目の出来事でした。そしてこの三冠皆勤馬、翌2017年こそ5頭まで回復したものの、2018年以降はまた1、1、1、2頭と、きわめて低い水準で推移して現在に至っています。
もちろん、凱旋門賞や暮れの香港国際競走など、選択肢が増えたことが大きな要因でしょう。これは以前、競馬ブックHPの『トレセン通信』でも書いたことですが、より大きな敵を求めて海を渡る日本馬には理屈抜きで声援を送りたくなります。しかしその一方で、日本の秋を戦い抜き、日本の秋を熱く盛り上げる馬が出てきてほしいという思いがあることも事実(何とも我がままで、身勝手で、贅沢な願いだとは思います)。
キタサンブラックの引退式で私の胸に一番強く湧いた思いは、秋を戦い抜いてくれた同馬への感謝の念でした。ブエナビスタ以来8年ぶりに、秋の三冠競走のすべてを1番人気で戦い抜いたのがキタサンブラックだったのです。
また、2018年と2020年に秋の三冠を戦い抜いた唯一の馬がキセキでした。どちらの年も無冠に終わったものの、その存在感は女王アーモンドアイに勝るとも劣らないものだったと思います。
今週から熱戦の舞台は東京に移り、いよいよ秋の古馬三冠の火ぶたが切られます。今年の秋は、果たしてどんな戦いが繰り広げられるのでしょうか……。

