プーチン氏に領土拡張の底意? | KOBONBLOG

プーチン氏に領土拡張の底意?

❝おそらく40年後、現在の思考停止のコンプラ社会やヒステリックなキャンセル・カルチャーは時代遅れの笑い話になっているとものと予想します。社会が普遍であるかのように振りかざしている道徳は、時間の経過に伴って残酷なまでに変化してしまうのです❞(by 藤原かずえ)

藤原かずえ@kazue_fgeewara





おはようございます。

今日も今日とて上天気に恵まれるようで有り難いことです。

さて、今しがたwebチェックしておりまして、藤原かずえ女史のエックスに行ったのですが、いやいや、興味深いご発言を聞きましてご紹介したいと。

冒頭の一節なのです。

「今はキャンセルカルチャー花盛りの時代であっても、40年後には笑い話になっているであろう」という。

これは前回ここでご紹介した岡田斗司夫氏の「ホワイト化する今」という話、そしてそれが20,30年間ほども続くであろうという予測と、何やら軌を一にするように感じられるということなのです。

岡田氏はそういうホワイト化なりブラック化を、別に価値判断しようとしていないで、「イイ悪いは別にして」と仰っているのですが、藤原氏はあえてそこを「悪いです」という風に価値判断しているようなことでしょうか。

いやいや、ご両人とも時代の行く先を感じ取れる俯瞰的な目をもっておられるのだなと、感心したのです。



それにしても藤原かずえ女史、「もの凄い人」です。
ほんまに私は女性でここまでロジカルにモノを考えられ、かつエモーショナルな部分でも素晴らしい感性を発揮される、まことにとんでもないハイレベルの人物を見たことがないのです。

世に全然知られていないお方なのですが、いずれどこかの時点でブレイクして行くのでしょう。
逆にもしそうでないなら、日本社会はこれほどの人間を誰も世に出そうとしない「オール見る眼ナシ人間」になり果てているということなのでしょう。

そして同時に、これほどまでの人物がここまで長く世に隠れていることにも、何か不思議さを感じるのです。

テレビのワイドショーが、もう何十年も前から「見た目(ルッキズム)」重視で、どこの誰かも分からない美形の女性コメンテーターを長年同じように重用しているのですが、バカだなと。どうしてこういう優れた知性をテレビに登場させないのかと。


私の毎朝のwebチェックは、藤原かずえ女史のエックスを開くところから始まるのです。2番目に開くのが池田信夫氏のエックスなのです。
そしてこの両人のエックスを追尾するだけで、もう世の中の大ごとから小ごとまでのチェックすべき事柄が網羅できてしまうようなことなのです。(池田氏は池田氏でとんでもないレベルでの知の巨人なのです)


小さなことでは、藤原女史の「サンデーモーニングチェック」が毎度笑かしてくれるのです。
ことに最近の寺島実郎氏イジリは面白くて笑えたのです。
(いやいや、寺島氏、藤原女史にここまで笑いものにされて、不名誉極まりない話なのですが、果たしてご本人はこういう事態を承知なされているのだろうかと、余計な心配をしてしまうのです)



 

 




さて、もう一つ、「ウクライナ問題」、「プーチン氏インタビュー事案」につきましてご紹介したい件がありまして・・・。

それが次の動画なのですが、



 

(15分16秒)




いやいや、上念氏はこのインタビューを「全否定」的に切り捨てているのです。
そしてプーチン氏を「バカです」的に低評価しているのです。
(そしてそのプーチン氏がタッカーカールソン氏をこれまた「バカ扱い」しているとか)


実は若手政治系ユーチューバーで著名なKAZUYA氏もこのインタビューについて言及して、「頭おかしい…」とコメントしているのです。つまりは全否定。

上念氏やKAZUYA氏のスタンスは以前から承知していましたので、私はそういう反応がくるだろうなと予想もしていましたので特段に驚くには当たらないのです。

なので、「ではどうしてとり上げるのか?」ということなのですが・・・。

 

(ちなみに、私は上念氏やKAZUYA氏などの言説については、日頃はその経済観や政治観については高く評価しているのです。別に日頃から反上念、反KAZUYA(たとえば百田氏などのように)ではないのです。ただ、もちろん「全て」ではないのです。それは誰に対しても同様でして、みんな(藤原女史、池田氏や私も含め)ところどころでは誤謬認識、誤判断をなされているのです。完璧な人など一人もいないのです。なので個々の事案、問題で私が皆さんのご見解と異なる意見をもって、こうして疑義を呈することも普通なことなのです。もちろん、私の方が誤った認識であることも多いのでしょうが)



一つ、私が「そうじゃないだろう」として強く否定したい未来予測があるのです。

それが、「プーチンには領土拡大意欲がそもそもあって、もしこのウクライナ侵略が成功するなら、次にはバルト3国、あるいはポーランドやフィンランドといった周辺の国々がその次のターゲットになるに違いない。よって成功体験させることは西側諸国にとって最大級の危険になる」という予測なのです。「なのでウクライナを負けさせてはいけないのだ」と。

上念氏は「フィンランド政権もそれが分かっているので、NATO加盟を急いだのだ」と言うのです。(いや、それについてはそうかもしれないのです。フィンランド政権も上念氏と同様な危険を感じ取っているという点では)

こういう予想は別に上念氏のオリジナルなものでなく、西側諸国にある程度共有されている認識なのでしょう。


私はこの点について、「その認識は違うだろう」と思っているのです。
もちろん、プーチン氏の内面深くを知る訳でないですので、ひょっとしたら世界標準の見方(プーチンには領土拡大意欲があり、それが今回のウクライナ侵攻の真の理由であるという)が真実なのかもしれないのですが。

それにしても、私には「なぜそういう風に思えるのか?」という点に疑問が生じるのです。
ミアシャイマー氏や伊藤貫氏の分析を聞くなら、決してプーチンがそこまで愚かな、バカな政治指導者でないことくらい、もう明瞭だろうと思われるのです。
そうなら、上念氏を初め世界中の指導者や知識人がみんな、ミアシャイマー氏や伊藤貫氏のような優れた見識について「無知である」ということなのでしょうか・・・。



確かに今回プーチンは「誤った」のです。当初の「キーウ侵攻」という、まさにウクライナへの全面侵攻、つまりは「キーウのゼレンスキー政権を倒す」という大目標を立てた時点で、それはとてつもなく大変なことなのに、逆にそれを「2週間で終わる」くらいの軽い仕事と読んだことが、そもそもの大失敗、大誤算だったのです。

なので、プーチン氏を「全然ダメじゃん!バカじゃん!」という風に見立てることは、ことその件については正しい認識なのでしょう。
しかし、その件を除いてここ数十年のプーチン氏の政治を見るなら、決して氏がそういう「バカ政治家」でないことはよく分かる話でしょう。(もちろん伊藤貫氏が評価するほどに凄い政治家である、というほどのことはないのかもしれないのですが、しかし、ブッシュjrやクリントン、オバマだとかいうアメリカのここ近年の軽い政治家に比すなら、おそらく格上の政治家であることは間違いないだろうと。

そういう文脈を踏まえてプーチン氏を見るなら、そのプーチン氏に「ロシア領土拡大の意欲がある」などという恐ろしく軽い、チープな見方などできないだろうと。

しかし、西側の諸国の政治リーダーや多くの知識人は、きっと「プーチンなる政治家をどう評価するか」について大きな過誤をなしていたのです。
そして、おそらくはきっと、アメリカ政権がこれまでロシアに対して為してきた「スタンス」を、無批判に受容していたのです。
つまりはクリントン政権以来のアメリカ民主党政権(や国務省、CIAなど)がずっと継続していた「対ロシア弱体化政策」というものを、無批判に、あるいはそんなアメリカの世界戦略などに無頓着で、ヨーロッパ諸国はヨーロッパ諸国だけの各国の勝手な国内事情にかまけて、「対ロシアどうする?」という戦略的な政策などにはほとんど無知なままに過ごして来たのだろうと推測されるのです。

その象徴が、ドイツの対ロシア宥和政策なのです。ドイツの対ロシアへのエネルギー依存率など、ノルドストリームへの依存度もそうですが、まさに「全面的警戒感ゼロ」に近いスタンスだったのです。(そしてそれは正しいモノだったと私には思われるのですが)

しかし、一人アメリカはそういう「対ロシア無警戒観」をもっておらず、「隙あらばロシア弱体化を狙う」というスタンスだったのです。それが今回明らかに露呈したのです。そしてその決意の現れが、バイデン政権によるノルドストリーム爆破という巨大な愚かに象徴されるという。

そしてドイツは、もうそれがアメリカの仕業と分かっても、もう大きな流れ(=世界的な対ロシア絶対許さん!大制裁の発動!という)には逆らえず、黙ってそれを受け入れざるを得なくなってきたと。

あ~・・・、この度の世界(西側諸国、アメリカ&ヨーロッパ)の対ロシアスタンスは、なんと大きな過誤に基づいて形作られているものかと、思わざるを得ないのです。
そしてそういう「世界のメインストリーム」の対ロシア観、対プーチン観を、それを「正しい世界標準であると」と認識する知識人が極めて多く、その右代表が上念氏や篠田教授さん、あるいは日本の政治家全般、あるいはマスコミ全般に共有されている認識なのだろうなと、そう推測されるのです。

そして逆に、佐藤優氏や政治家の鈴木宗男氏などのような、そもそも最初からの「親ロシアスタンス」の人たちの言説は、「お前は最初から親ロシアだろう。何がロシアの内在論理だ、ふざけるな!、ここでロシアに味方してどうする!世界が一致して力による現状変更は許さないという強い意思を見せることが先決だろう!あの暴力、あの侵略を肯定するのか、バカ!」という声に全否定されてしまうのです。


いやいや、皆さんが佐藤氏や鈴木氏を全否定したい気持ちも分かるのです。分かるのですが、そもそも「親ロシア」も「反ロシア」もないのです、「親プーチン」も「反プーチン」もないのです。問題なのは、重要なのは、「ロシア(プーチン)が何を考えているかの正確な情報だけ」なのです。

その情報を得ようとする時、元々親プーチンの人たちはどうしてもプーチン氏を肯定的に見てしまい、反プーチンスタンスの人は逆にプーチン氏を否定的に見てしまいがちなのです。
それは「対ロシア観」でも同様でして、元々親ロシアの人たちの見方と、反ロシアの人たちの見方は異なってしまいがちなのです。


その点で、私はプーチン氏にある同情をするのです。
それが、次の点なのです。

(いや、長くなるので今日はここら辺で・・。続きは次回で)


てなことで、上念氏のご見解をご紹介したくなったということなのです。

結論、「プーチン氏に領土拡張の底意はあるのか?」という点で、そんなことは全然ないと思わざるを得ないということなのです。

そういう見方をする人たちは、正確にプーチン氏という人間を、政治家を分かっていないのだろうと・・・。


もちろん、最初からの大問題ですが、「お前は今回のプーチンの犯した大罪を見ゆるすつもりなのか?」ということでは、「いや、そのつもりはない」、と答えるのです。

誤りは誤りだったのです、それは。

なので、どういう形でか、プーチン氏には何らかの責任をとってもらうしかないのだろうとは思うのです。ただそれが「戦争犯罪人としてハーグの国際司法裁判所の法廷に引き立てて死刑を宣告する(ミロシェビッチ氏の時と同様に)」という形が望ましいのかどうかは不明ですが。


そしていずれにしても、私はロシアに同情するのです、大いなる同情を。

それは私が「親ロシア」であるからでなく、むしろ私は心情的には「ソ連は嫌いだ!」という立場なのです。戦後の満州での「抑留」の件にしても、北海道での違法操業でどれほど漁業者が抑留されたり拿捕されていたかや、なかんずく共産主義革命を世界的に輸出しようとして、不要な「冷戦構造」を作り出したことなど、イイことなど一つもなく、スターリン以後フルシチョフ政権、ブレジネフ政権など、もう共産主義の輸出ほど世界に大災厄をもたらしたものはないと思っているのです。

そういう意味では「反ロシア(ソ連)」なのです、基本的に。

ただ、トルストイやドストエフスキー、あるいはその他文学芸術関係では「ロシア文化」というものには強い憧憬やら愛着を感じたりもしていますので、「ソ連政権やロシア政権は嫌いだが、ロシア文化は好きだ」という部分はあるのです。

なので、今は「可哀そうなロシア」・・・という、対ロシア同情論というスタンスに落ち着いているのです。


いやいや、長くなりました・・・。

ご紹介まで。


ではでは。