JR山口線を走る「SLやまぐち号」の1987年６月の運行は、国鉄末期に復活した一等展望車マイテ49 2を含む旧型客車で運行されました。このほど発売されたNゲージ鉄道模型「JR西日本 マイテ49＋旧形客車 ４両セット」（KATO）を、当時の写真と比べながら見てみました。
1987年６月のSLやまぐち号に連結されたマイテ49 2（左）とKATOから発売された同車のNゲージ鉄道模型
JR西日本が発足した87年春時点のSLやまぐち号は、国鉄から継承した青色の12系客車で運行されていました。これを蒸気機関車（SL）とマッチする茶色へ塗色変更することとなり、旧型客車はその施工期間に充当されました。
当時のSLやまぐち号では６月は集客が落ち込む時季で、マイテ49 2などの充当はその対策の意味合いもあったと思います。SLと往年の一等展望車の組み合わせはレトロ感たっぷりで大変な話題となりました。
営業運転初日は６月７日で、津和野に向かう下りのSLやまぐち号は、C57形１号機を先頭に、オハフ33 48、オハ46 13、オハフ33 289、マイテ49 2の順に連結されていました。
同月最後の日曜だった28日は、C56形160号機との重連運転も実現し、沿線は熱気に包まれました。
マイテ49 2を含む旧型客車で運転された87年６月のSLやまぐち号＝２枚とも小郡（現新山口）駅
それから37年後の今年５月、KATOからマイテ49 2などの４両がセットになったNゲージが発売されました。製品説明には「昭和62年から平成初期の宮原運転所所属車の形態を再現 」とあり、87年６月のSLやまぐち号も再現できます。
私も購入して製品を手に取ってみると、熱気にあふれた当時の思い出がよみがえってきました。
KATOから発売されたNゲージ鉄道模型「JR西日本 マイテ49＋旧形客車 ４両セット」のマイテ49 2。デッキの手すりが増設された復活時の姿が再現されています
本稿で掲載した当時の屋根上写真と比べると、オハ46 13の色が異なるあたりも似ています
一方でこの製品と87年６月に撮影したSLやまぐち号の写真を比べると、マイテ49 2のグリーンマークの有無（同年は付いていたようです）、オハフ33 48のドア窓の位置、貫通幌の色、トイレ窓の形状（オハフ33 289も）、サボ受けの有無（オハ46 13を除く３両）などが異なっているようです。
私は旧型客車についてあまり知らないため細かい部分はあまり気になりませんが、87年６月のSLやまぐち号の姿に近づけるには、いろいろと加工が必要のようです。
87年６月の下りSLやまぐち号でC57形１号機の次位に連結されたオハフ33 48。乗降ドアの窓はやや高い位置にあります＝小郡駅
マイテ49＋旧形客車セットのオハフ33 48（右）。窓の高さが実車より少し低い位置になっています。またトイレの窓の部分も異なっています
実際のオハフ33 48の貫通幌は、車体に合わせたぶどう色２号に塗られています。この写真を見ると、87年６月SLやまぐち号ではトイレがある１—２位側が津和野方を向いていたようです＝小郡駅
マイテ49＋旧形客車セットのオハフ33 48にはグレーの幌が付いています。テールライトが点灯するのははしごが付いた３—４位側で、１—２位側はやや貧相な顔になっています（左が１—２位側、右が３—４位側）
マイテ49＋旧形客車セットのマイテ49 2。復活時に新たに設置されたエアコン（床下右側）は再現されていますが、サボ受けは省略されています。87年６月のSLやまぐち号では、同車はフリースペース扱いだったと思われ、当時の写真を見ると他の３両には差されていた号車札や「小郡↔︎津和野」のサボはなかったようです
マイテ49 2など往年の客車が連なった87年６月のSLやまぐち号は、当時新米？の鉄道少年だった私にはとても印象に残るものでした。今回KATOから発売されたマイテ49＋旧形客車のセットは全体的な雰囲気は良く、懐かしさでいっぱいの製品でした。
この旧客編成はマイテ49 2を目玉にイベント列車として西日本各地に足跡を残しました。現在保存車として残っているのはマイテ49 2とオハ46 13だけになりましたが、Nゲージの世界では今後も多くの人に親しまれそうです。
鉄道模型で再現したC57 1とマイテ49 2の並び。私が持っているTOMIXのC57 1は時代設定が異なりますが、雰囲気だけは「87年６月」を味わえました
※87年６月のSLやまぐち号とマイテ49 2は、姉妹ブログでもまとめています
