九州エリアを走るJR貨物の交流電気機関車ED76形。現在稼働している9両のうち7両は同形最終ロットの1000番台です。JR長崎本線鍋島駅に向かう4083レをけん引する1015号機を、機器類を含め鳥栖駅(佐賀県鳥栖市)で見てみました。

 

 

鳥栖駅に停車中の4083 レをけん引するED76 1015

 

 

 

 

4083レは鍋島行き貨物列車の2本目でED76形がけん引。鳥栖貨物ターミナル駅を出たあと鳥栖駅の側線に入り、5・6番ホームの立ち食いうどん店付近に停車します。

 

この日は遅れていたようで15時半頃に到着。私はSL人吉の撮影のあと「かしわうどん」を食べながら待機していましたが、ちょうど「ごちそうさま」のタイミングで1015号機が現れました。

 

 

鳥栖駅5・6番ホームの立ち食いうどん店付近に停車したED76 1015。この組み合わせが何だか懐かしく感じます

 

 

留置線の811系(右)、キハ220形(中央)と並ぶED76 1015

 

 

 

 

ED76形1000番台は客貨高速列車けん引装備を持つグループで、1970(昭和45)年から3度にわたり製造されました。最終ロットの1015〜1023号機は79年にデビューし、当初は鹿児島機関区に配置されていました。

 

今年で「45歳」とすっかりベテラン機になった1000番台後期形ですが、私が子どもだった国鉄時代には電気機関車全体で見ても新しく、ブルートレインをけん引する姿はフレッシュな印象でした。

 

 

ED76 1015の2エンド側。高速列車に対応する1000番台ですが、1011号機以降はスカート部からKE59ジャンパ連結器栓受けが撤去され、比較的シンプルな外観です

 

 

 

 

この日4083レをけん引していた1015号機は、ED76形1000番台後期形のトップナンバーに当たり、稼働機で唯一の日立製として注目されています。ただ、同機の落成は79年9月13日で、1017号機以降の東芝製より後になりました。これは日立が当時製造していた交直流電気機関車EF81 137〜145の工程を先にしたためのようです。

 

最終ロットの外観上のポイントは、桜島の降灰対策として採用された運転室側窓の高密閉性ユニットサッシで、その理由を聞くと九州機らしさを感じます。そのほか現在は更新車を示す側面の白帯、ステンレス無塗装のドア(一部車両)などが目立ちます。

 

 

ED76 1015のユニットサッシ。長年使われてさすがにくたびれた雰囲気ですが、昭和50年代には、鉄道少年の「主役」だった東海道・山陽本線のEF65PF形よりもシャープな印象で、新しさを感じたものです

 

 

 

1015号機のパンタグラフPS102C。至近距離で見る機会がほとんどないため新鮮です。同じ下枠交差型でも色や形状やEF65PF形と異なっているのがよく分かります

 

 

1015号機の屋根上機器(これは上から見てみたいですね…)

 

 

1015号機のナンバープレートと中間台車。同機は稼働するED76形で唯一の日立製で、同じく三菱製の83号機とともに貴重な存在です

 

 

 

 

運行中のED76形を間近で眺められる鳥栖駅は以前から気になっていました。往時の雰囲気を残す同駅で午後の日差しを浴びて佇むベテラン国鉄電機の姿は、短時間でしたが「昭和」に誘われたようでした。

 

引退の足音が聞こえてきたED76形。特にかつて最新型だった最終ロット機の風格たっぷりの姿に接すると、時代の流れを感じます。「ナナロク」では一般形の0番台が人気ですが、国鉄交流電機の最終形態の一つとして1000番台後期形にも注目したいところです。

 

 

 

約10分間停車したあと鳥栖駅を発車したED76 1015。コンテナ貨車を力強くけん引して長崎本線に入っていきました

 

 

 

※姉妹ブログでは国鉄時代のED76形の思い出をまとめています