JR鹿児島本線を走る臨時快速「SL人吉」。下り列車はディーゼル機関車DE10形のけん引で熊本に向かいます。3月23日のラストランまで1カ月、始発・鳥栖駅の様子を見てみました。

 

 

鳥栖駅で柔らかい日差しを浴びて発車を待つ8620形58654号機。クラシカルな姿が浮かび上がります。下り列車では最後尾となりテールライト点灯、ヘッドライト消灯で走ります

 

 

 

 

鉄道の要衝でかつては機関区などが隣接していた鳥栖駅ですが、現在転車台は残っていません。熊本から到着後したSL人吉の8620形58654号機は向きを変えることなく、復路はバックするような形で走ります。

 

上り運用を終えて南側の留置線に引き揚げていたSL人吉は、鳥栖駅に15時過ぎに改めて入線します。この時だけは58654号機が先頭となり、ホームでは多くの人が写真に収めます。

 

 

鉄道ファンや家族連れらが待つ鳥栖駅5番のりばに入るSL人吉

 

 

復路のSL人吉はディーゼル機が先頭になります。この日はDE10 1206のけん引でした

 

 

 

 

入線後のSL人吉は隣のホームからも撮影できますが、4番のりばには15時8分頃に博多方面からの普通列車が到着します。SLの編成全体を撮る場合は早めの方が良さそうです。

 

 

隣のホームに入ってきた813系の普通列車(右)と並ぶSL人吉の58654号機

 

 

煙に包まれる58654号機。午後の日差しとともに往時の雰囲気にあふれます

 

 

 

 

SL人吉は15時11分に鳥栖駅を発車します。入線から発車までもう少し時間がほしいところですが、鹿児島本線、長崎本線の多くの列車が次々発着する同駅。それは難しかったようです。

 

 

 

多くの人に見送られて鳥栖駅を発車するSL人吉。58654号機の煙に包まれて走り去っていきました

 

 

 

 

私はこの日、上りのSL人吉を南瀬高と久留米駅で見送った後、鳥栖駅に向かいました。下りは実質「DL人吉」のため見栄えしないかな…と考えていましたが、やはりSLは最後尾になっても魅力たっぷりでした。

 

58654号機を見るのは「SLあそBOY」以来、約19年ぶり。もっと早く訪れたかったのですが、山口県から福岡・筑後地方は中途半端な距離で、なかなか踏ん切りがつきませんでした。

 

 

鳥栖駅改札内にあるSL人吉お見送りの案内掲示。3月23日のラストランは博多までの特別運行となり、熊本への復路がSLけん引になるようです

 

 

 

 

SL人吉は肥薩線を走ってこその列車で、同線の豪雨による被災は住民の暮らしはもちろん、観光面でも大きな損失でした。

 

しかし代替とはいえ21年から約3年間発着したJR鳥栖駅も、鉄道が栄えた時代の雰囲気が残りSLがよく似合います。58654号機も鳥栖機関区に配置歴があるそうで、同機を眺めると当時にタイムスリップしたかのようでした。

 

運行終了まであと1カ月。JR九州による復活後も30年間活躍した58654号機と専用の50系客車は、SL現役時代を知らない世代の心にもしっかり刻まれたように思います。

 

 

 

※上りSL人吉の撮影記は以下をご覧ください

 

 

 

※SLあそBOY時代の58654号機はこちらに掲載しています