寝台特急「あさかぜ3・2号」と「瀬戸」で1990年から使われた24系25形の荷物用業務用室付き緩急車オハネフ25形300番台。従来の電源車カニ24形の代わり組み込まれた、静止形電力変換装置(SIV)を搭載した「ラウンジカー」スハ25形300番台とセットで運用され、他のブルートレインでは見られない専用車として注目されました。

 

 

「あさかぜ」の1号車に組まれたオハネフ25形300番台。旅客用の乗降ドアを車体中央寄りに移して荷物用業務用室を設けたため、個性的な外観でした=本由良—厚東、2003年

 

 

 

 

スハ25形 300番台は「ラウンジカー」のため、電源車カニ24形のもう一つの役割である「荷物車」としては機能しませんでした。そのためセットで使う荷物スペースを持つ車両が必要になり、オハネフ25形300番台は、オハネフ25 134、135、141の3両を方向転換・改造して3両用意されました。

 

オハネフ25形300番台の荷物用業務用室は、乗務員室側6人分の寝台を撤去して生み出されました。旅客用の乗降ドアを車体中央寄りに移し、元の位置には開き戸の荷物搬入出専用扉を設けました。

 

そうして約14立方㍍(最大積載量3㌧)のスペースが確保され、私は実際に立ち入る機会はありませんでしたが、棚を設けて効率的に積めるようになっていたようです。

 

 

下関あさかぜ、瀬戸に使われた他のオハネフ25形と同様、スハ25形300番台のパンタグラフ非常降下用のKE70ジャンパ栓が追加装備された「顔」は90年代以降の両列車の特徴でした。晩年はグレー色の足回りとなり、検査直後はよく目立ちました=長府—新下関、2003年

 

 

 

 

屋根の高さが合わない12系客車から改造されたスハ25形300番台の、24系25形編成内における違和感は織り込み済みでしたが、オハネフ25形300番台は一見ノーマルな装いのため、かえって異質な雰囲気が漂っていました。車体長が変わったように見えるのも面白く、なかなかクセのある車両でした。

 

乗客目線で見ると、下関あさかぜでは寝台側が海側(南)になる唯一の車両で、1号車に入るため下りでは先頭の電気機関車EF66形のモーター音なども聞こえました。

 

下関あさかぜに特化した車両だったため、同列車が2005年3月に廃止されると出番を失ってしまいましたが、スハ25形300番台とともに「個性派」としてファンを楽しませてくれました。

 

 

晩秋の防長路を行く上りあさかぜ。オハネフ25形300番台は1号車に組まれ、4号車のラウンジカー・スハ25形300番台とセットで運用されました=大道—四辻、2003年

 

 

 

 

※セットで運用されたスハ25形300番台は、以下の記事にまとめています

 

 

 

※姉妹ブログ「歴鉄2番線」の新しい記事では、かつてブルトレが走り現在は鉄道広場に変わった山陽本線防府駅(山口県)近くの踏切を取り上げました