JR宇部線などで運用される下関総合車両所運用検修センターの105系。現在は2両編成9本が在籍しています。冷房装置は全ての車両が分散式のWAU102形ですが、形状が異なる2種類があり混載している車両も見られます。2023年9月に9編成18両の搭載状況をチェックしました。

 

 

分散式の冷房装置WAU102形を搭載した現在の105系。メーカー別に2種類があります。写真はU05編成のクモハ105-15で、左端と中央の2基で形状が異なっているのが分かります=6月

 

 

 

WAU102形は、JR西日本が在来車両の冷房化促進のため改造経費を抑えた冷房装置として1988年に登場しました。1両あたり3基搭載されましたが、計33000kcalと一般的なAU75形(42000kcal)に比べると性能で劣り、「効きが良くない」との声も多かったようです。

 

そのため新型車両が登場すると103系などのWAU102形搭載車は姿を消して、現在は105系でのみ見られる「希少種」になりました。

 

 

WAU102形を搭載した105系。写真はK06編成で、2種類を混載しています=新下関—幡生

 

 

 

WAU102形には三菱製と東芝製の2種類があり、105系ではその両方が見られます。機器に詳しくない私は、三菱製は全体が角張っていて屋根との隙間が狭い、東芝製は丸みがあり屋根との隙間が広い、などで見分けています。

 

 

三菱製のWAU102形(3基とも)。全体的に角張っているのが分かります(写真はU02編成のクモハ105-10)

 

 

東芝製のWAU102形(3基とも)。丸みを帯びていて屋根との隙間が目立つほか、ファン上面などに仕切りがあります(写真はU02編成のクハ104-10)

 

 

 

現在下関に配置されている105系9編成18両には、全部で54基のWAU102形が搭載されていますが、今回確認した限りでは東芝製の方が多く使われているようです。9編成のうち同一メーカーでそろっているのは、U03、U04、K02の 3編成で、いずれも東芝製です。その他の編成では片方のクモハ105形やクハ104形だけがそろっていたり、両方とも混載だったりとバラつきがありました。以下、確認した結果を載せておきます。

 

 

編成番号・クモハ105形+クハ104形

U01・MSS+SSS

U02・MMM+SSS

U03・SSS+SSS

U04・SSS+SSS

U05・MSS+SSS

U06・SSS+MSS

K01・SMS+SMM

K02・SSS+SSS 

K06・SSS+ SSM

(※三菱製=M・東芝製=S、編成の向きは左が新山口方、右が下関方)

 

 

今回は全て実車を確認したものですが、過去に撮影した写真を見ると現在と並び方が異なっている車両もあり、検査入場時などに換装された可能性もあります。

 

 

 

 

三菱製と東芝製の混載例。上写真はU05編成のクモハ105-15で、左が東芝製、右が三菱製。下写真はK06編成のクハ104-20で、下関方(手前)のみ三菱製です。どの角度から見ても形状の違いははっきり認識できます

 

 

 

以上、下関105系のWAU102形の搭載状況を簡単にまとめてみました。メーカーごとに形状が異なることは結構知られた話で、鉄道模型でも2種類のパーツを作り分けて製品化されているなど、特にJR初期を想定して車両加工をする方には、必要な知識のようです。

 

私は105系を日常的に見たり乗ったりしていますが細かい部分には疎く、105系の冷房装置=WAU102形と認識するのみでした。最近になって「よく見ると屋根の隙間が結構広いな」「こっちは狭いし形が違うぞ」などど気になり、調べてみました(時間に余裕があるときしかチェックできない上、特にトリコロール色のK02編成はなかなか現れず難儀しました)。

 

 

懐かしいトリコロールカラーが復刻された105系K02編成。同編成は全て東芝製のWAU102形を搭載しています=新下関—幡生

 

 

 

105系は国鉄車両の生き残りとして徐々に注目されるようになってきましたが、WAU102形も冷房化推進というJR初期の鉄道史を語る上では欠かせないもので、これも貴重になってきました。幾多の改造を経て生き残るベテラン車両、私はそれほど知識はありませんが、またいろいろ観察してみたいと思います。

 

 

 

 

※姉妹ブログ「歴鉄2番線」では、常磐緩行線から転身したクモハ105形500番台を振り返っています