JR山陽新幹線、山陽本線、山口線、宇部線が発着する山口県の玄関口、新山口(しんやまぐち)駅。かつては「小郡」(おごおり)を名乗っていましたが、2003年10月1日の駅名変更から早いもので20年になります。薄れゆく小郡駅の情景…節目に当たり当時を振り返ってみました。

 

 

小郡駅最後となった9月30日には公募ヘッドマークを付けたSLが特別運行され、多くの人でにぎわいました

 

 

 

小郡駅は1900(明治33)年に開業。その後、山陰地方へつなぐ山口線の開通や三田尻(現防府)駅からの機関庫の移転などがあり、小郡町は鉄道のまちとして発展しました。

 

駅名としても十分浸透していたように思いますが、「県の玄関口として山口の名を入れるべきだ」との声は昔から多くあったようです。その後、隣接する山口市との合併問題や新幹線「のぞみ」停車問題などが絡み、現在の新山口駅に改称されました。

 

 

 

小郡駅北口。新幹線口に比べるとのんびりした佇まいでした。写真は小郡駅最後の日で、駅名看板は「新山口駅」の上を「小郡駅」で覆う仮のものに変わっていたように見えました。駅の掲示物は、翌日からの「のぞみ停車歓迎」一色でした

 

 

 

駅名変更当初は「この列車は小郡行き…失礼しました、新山口行きです」などと言い間違える車内放送に遭遇したこともありましたが、今では「新山口」は、鉄道に携わる人はもちろん、多くの人の会話内でも定着しました。

 

 

100系「こだま」が停車する夕方の小郡駅新幹線ホーム。出張を終えたビジネスマンらが東京行き「ひかり」を待つ姿が多く見られました=2003年9月

 

 

新幹線ホームに設置されたSLやまぐち号の巨大看板。通過列車の車窓からも認識でき、小郡(新山口)駅といえばこれを思い浮かべる人も多いと思います

 

 

 

一方で「小郡」は地元の人たちを除くと、年月の経過とともに日常から消えてしまったように思います。その名に慣れ親しんだ私でも(心の声に反して)人と話すときは「新山口」を使います。20年の歳月を考えれば、おそらく30歳以下の若い人たちは「小郡駅」を知らないのが自然でしょう。

 

それでも「山陽本線の蒸機を支えた小郡機関区」「市でなく町にある新幹線駅」など、鉄道史の側面では揺らぐことはありません。「小郡」の名は、歴史の中でしっかり継承されていくことでしょう。

 

 

小郡駅のつり下げ式駅名標=2003年9月

 

 

 

 

※姉妹ブログ「歴鉄2番線」では、小郡駅に隣接する車両基地にあった扇形車庫を紹介しています