JR九州の303系は同社が初めて開発した直通通勤形電車で、2000年から活躍を始めました。6両編成3本がJR筑肥線〜福岡市営地下鉄空港線の直通列車に使用されていて、両線を走る電車の中では最も少数派の形式です。

 

 

登場した頃の303系。外観はJR九州の交流近郊形813系や815系の要素が見られますが、直線基調のデザインが当時斬新でした=姪浜駅、2000年

 

 

 

JR九州の地下鉄直通車両は、長く旧国鉄から引き継いだ103系1500番台が担ってきましたが、ワンマン運転ができないなどの制約がありました。303系はその点を改善したほかデザインも洗練されるなど、福岡市交通局の2形式に劣らぬレベルになったようです。

 

そんな303系でしたが、元々の登場経緯が旧型車の置き換えではなく、下山門ー筑前前原間の複線化に伴う増発目的だったため、製造は結果的に3編成18両にとどまりました。このあたりは首都圏の東急田園都市線〜営団地下鉄(現東京メトロ)半蔵門線のレア形式として知られた東急2000系(現9020系)にそっくりだと、個人的には思います。

 

 

103系1500番台(左)と並ぶ303系K01編成。外観のデザインに年月の流れを感じます=筑前前原駅

 

 

 

しかし303系は少数派の割には、福岡空港ー筑前前原間で比較的よく見かける気がします。私の場合、福岡を訪れた際は選んでいるわけではないのによく当たります。共通運用になっている305系自体も6編成と少ないせいかもしれません。

 

福岡市交の車両を含めた路線全体では33編成中の3本なので、303系は十分珍しい存在なのですが、前述の東急2000系のレア度(1990年代半ばごろ田園都市線〜半蔵門線を走っていた3形式62編成中、たった3本の存在だった)に比べると、303系はキャッチしやすいと思います(個人的な思い出をベースとした比較で、全く異なる路線なのであまり意味はありませんが…)。

 

 

筑肥線内を走る303系。ローカル線の風景とのギャップを感じます=加布里ー一貴山

 

 

 

製造から20年を過ぎた303系。これからも活躍を続けそうですが、少数派であることには違いありません。この先どのような展開を見せるでしょうか。

 

 

 

※福岡市営地下鉄への新旧直通車は以下の記事をご覧ください