東海道・山陽本線の貨物列車の主力機として活躍する「桃太郎」ことEF210形。デビューから四半世紀近くが経ち、130両を超える大所帯になっています。その中で車体に黄色い帯を入れた300番台は、広島県の瀬野ー八本松間の勾配を通過する貨物列車を後押しする機関車として2012年に登場しました。

 

 

EF210形300番台を目にしたとき、普段は国鉄形を追いかけている私でも特別感を覚えました。基本番台の車体側面がグレー色メインでやや地味なのに対し、300番台は鉄道ファンの心をくすぐる?「◯◯番台」という区分、直流機の「正装」と言える青色の車体、EF65PF形やEF66形を思わせるライン入りのサイドビュー、本線を走る本務機もこなせる汎用性…それら要素に魅力を感じました。

 

 

新下関駅付近を走るEF210 311。EF66形が入線しなくなった西端区間では、少数派だった頃の300番台は注目の機関車でした

 

 

引退を控えたEF200形に後を託されるように対面で並んだEF210 313。世代交代が伝わるシーンでした=幡生操車場、2019年

 

 

 

山陽本線の貨物列車で注目機だったEF210形300番台でしたが、その後どんどん増えていき、気づけば339号機まで登場。活躍エリアも首都圏方面に拡大し、黄色いラインの新鋭機はすっかり日常となりました。

 

 

幡生操車場で休む、デビュー直後のEF210 321。増備途中から車体に桃太郎と家来を描いたかわいいイラストが入るようになりました

 

 

 

以前は後押し機としての役割から「押桃」のニックネームだったEF210形300番台も、運用エリアが広がったことと、基本番台の更新機が白帯を入れて「白桃」と親しまれていることから、最近は「黄桃」と呼ぶ方がふさわしいかもしれません。両数が増えて特別感がなくなった300番台ですが、鉄道ファンとして今後もその活躍を見届けようと思います。