国内で初めて時速300㌔営業運転を実現したJR西日本の500系新幹線。今年3月22日でデビュー25周年を迎えます。「のぞみ」運用の撤退から十数年。未来を先取りしたフォルムで根強い人気を誇るベテランは現在、各駅停車の「こだま」としてのんびり山陽路を駆けています。

 

 

 

新関門トンネルを抜けて新下関駅に入線する500系。久しぶりに撮影しましたが相変わらず他の新幹線にはないオーラを感じます(写真はトリミングしています。トンネル出口はホームから距離があり、300ミリ程度の望遠ではアップ系に撮れないようです)

 

 

 

明らかに「新幹線」の枠から抜け出した500系。子どもの頃に想像した未来の電車は、まさにこんな感じでした。国鉄時代を好む私ですが500系は別格です

 

 

 

1997年の500系登場には新時代の到来を実感しました。その外観は四半世紀を経ても陳腐化していません。短い8両編成となり特徴的な翼型パンタグラフなどは見られなくなりましたが、全盛期のイメージは保っています。

 

 

 

 

V2編成は特別編成として運行。現在はキュートな「ハローキティ新幹線」となり、車内では沿線地域のPRに一役買っています。かわいいピンク色の新幹線は今も人気で、週末の停車駅にはカメラを持った親子連れらが訪れています。それにしても、クールな?500系の変身ぶりには本当に驚かされました

 

 

 

現在の500系は山陽新幹線「こだま」として活躍していますが、編成数が多い700系7000番台「レールスター」よりも充当列車が少ないようです。また、ローカル色が強い広島ー小倉では空席が目立ち、のんびりした空気感が漂います。

 

 

私も北九州での所用の帰路、少し贅沢ですが時々利用します。小倉ー新下関はわずか8〜9分で、むかし東京まで4時間半ほど乗車したことを思えば物足りないのですが(小倉発車後の車内放送が終わると約5秒で新下関到着のアナウンスが始まります)、貸切状態のことが多く快適に過ごせます。

 

 

ただコロナ下とはいえ、これだけ空いているのも利用低迷〜本数削減のループに陥りそうで心配です。

 

 

 

自由席車(写真上)と指定席6号車(同下)の車内。後者はグリーン車用を転用した座席がよく知られています

 

 

500系ならではの「名所」、お子様運転台も健在です

 

 

 

一方で他の形式同様、新幹線の電話サービス終了により電話室を閉鎖。喫煙ルームは新型コロナウイルス感染症対策で1人ずつの利用となっています

 

 

 

車齢25年を迎えた500系ですが、いろいろな方の情報では現在V5、V6編成が運用を離脱しているようです。一部編成では制御装置を換装。行先表示器のフルカラーLED化も進められるなど、延命化の動きを見せています。

 

 

V8編成は制御装置をIGBTインバータに換装。加減速音が静かになり、特徴的だったGTOインバータの音色は聞かれなくなりました

 

 

フルカラーLEDとなった行先表示器(写真はV8編成ですが、昨年11月には3色LEDだったV4編成もいつの間にか変わっていました)

 

 

 

500系はいつまで走るのかー。最終的には九州新幹線に直通する「さくら」「みずほ」用のN700系の置き換えと連動すると思われますが、車種や編成がほぼ統一された東海道・山陽新幹線では今後、個性派形式は現れそうにありません。まだしばらくは残れそうな500系をしっかり味わっておきたいところです。

 

 

(※掲載写真は2021年11月、22年3月撮影)