国鉄末期の1986(昭和61)年、郵便・荷物列車の廃止に伴い、荷物電車クモニ143形、クモユニ147形から生まれた123系電車。全国的にはマイナーな形式ですがJR西日本に5両が残り、主に宇部線と小野田線で活躍しています。

 

 

現存するクモハ123形は二つのタイプに分かれ、2~4は片開き扉とスイング開閉式の大きな側面窓が特徴。一方の5、6は両開き扉に2段式側面窓の組み合わせで、以前は荷物搬入用の側引戸跡を利用した扉位置だったようです。5両とも後年トイレが設置され一部の窓が埋められたことで、さらに特異な外観となりました。

 

 

クモハ123-2〜4。登場時、大きな窓と明るいロングシートは、主力の115系にはない新鮮さを感じたものです。写真のクモハ123-4は数字並び的にも興味深い車両(余談ですが、むかし東京の地下鉄銀座線の01系に乗った際は、さらに上をゆく?「01 234」という車両に遭遇しました)=下関駅

 

 

クモハ123-5、6のグループは国鉄荷物電車のテイストを何となく残しています(写真はクモハ123-5)=下関駅

 

 

 

クモハ123形は下関への入出庫の関係から105系と一緒に山陽本線も走ります。駅間が長い同線ではスピードを出すため「乗り鉄」の人にはおすすめです。私はそれほど乗車機会がありませんが、何となく圧迫感のある車内と115系や103系と違うあっさり感のある独特のモーター音が印象に残っています。

 

 

夕方に下関を出て宇部線へ直通。105系と併結運転時は上り方に連結(写真はクモハ123-2)=新下関—幡生

 

 

宇部線の運用に入るクモハ123-6。貫通幌が付く下り方の顔は、105系と併結運転する山陽本線では普段お目にかかれません(この写真の向きから眺めると、側面の客室窓が異様に少ないのが分かります)=宇部駅

 

 

クモハ123-6の銘板。「日本国有鉄道 吹田工場 昭和61年改造」がしっかり残っています

 

 

 

JR西日本は「輸送密度2千人以下」を目安に不採算路線の見直しに言及していて、同社の公開資料によると小野田線は344人、宇部線は1904人となっています。JR発足から35年。地方公共交通の在り方が問われる中、両線で活躍するベテラン123系の去就は、路線存廃にも絡んでいくことになりそうです。

 

 

 

こちらの記事でも123系を紹介しています→山陽本線105系+123系 併結列車に乗る

 

 

 

【追記】

123系の山陽本線での営業運転は2023年3月のダイヤ改正以降なくなり、下関には単行で回送されています。