関門トンネル専用機として活躍したEF30。試作の1号機は1960年(昭和35)年に登場した。車体はステンレスの平板に赤帯を巻いた独自のもので、機器配置が見直された量産機と比べ、車体が1.3メートル長かった。

 

 

78年に引退後、北九州市の勝山公園に保存されたが、2009年、門司港の貨物線を活用した観光路線の開業に合わせ、和布刈公園内、トロッコ列車終着駅そばの現在地に移った。


れきてつ
本州と九州を結ぶ関門橋のそばで、オハフ33 488とともに展示されているEF30 1。和布刈公園自体はきれいに整備されているのだが…。

 


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EF30 1に近づいてみると、ライト類や貫通扉の取っ手などが失われている。機関車として重要なこれら部品がないのは寂しく、非常に残念だ。

 


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白銀の輝きは健在だが、メーカーズプレートは外され、窓やフィルターも塞がれている。アクセントだった赤帯は、うっすらと跡が残る。

 


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「門」の区名札は、どうもフォントやサイズが異なる気がする。ブルトレマークは時代が合わず、やや違和感がある。それでもこの機関車の寂しい現状を考えると、これらが入れられているのは救われる思いだ。

 


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博物館などでの保存に比べ、公園に置かれた場合は荒れることが多い。現在地は風光明媚な関門海峡が見渡せる素晴らしい場所だが、一方で海のそばということもあり、腐食の進行が懸念される。

 

 

資金や労力を出すわけではないので軽々しいことは言えないが、EF30 1は日本の鉄道史にとっても貴重な機関車だ。現役時代の姿に整備し、しっかりとした維持体制が望まれる。


 

※掲載写真と情報は2011年5月時点のものです。