1988年4月、瀬戸大橋の開通とともに登場した快速「マリンライナー」。国鉄最後の新製電車213系に、新たな展望グリーン車クロ212形を連結した編成で、瀬戸大橋を渡り、岡山~高松間を約1時間で結んだ。瀬戸内・四国の新時代を予感させる印象深い列車だった。
マリンライナーの展望グリーン車、クロ212は高松方の1号車に連結。大きな窓が特徴のハイデッカーで、瀬戸内海の眺望が楽しめるよう、座席は窓側に向けられていた。(高松、1988年)
クロ212は6両(団体用「ゆめじ」含む)が製造され、車両ごとに帯色のパターンを変えていた。
岡山方の先頭車はクモハ213形で、マリンライナーのヘッドマークが付いていた。客室からの展望が重視され、前面窓が広く設計されていた。普通車としては破格のサービスぶりで、鉄道ファンには「特等席」だった。
マリンライナーの車両は2003年10月、後継の5000系・223系5000番台となり、213系は岡山地区のローカルに転用。クロ212はわずか15年で引退した。海を渡る華やかな運用は、一方で塩害に悩まされる過酷さもあったと思われる。