1日約300万人を輸送するという東急電鉄。その電車内で長年、大半の人が目にしたであろうキャラクターの見納めが最近話題となりました。ドアに貼られたステッカーで、「ひらくドアにごちゅういください」と注意喚起してきたクマ。子どもたちはもちろん、大人にとっても親しめる存在でした。

 

 

東急の電車で見られたドア開閉への注意を促すステッカー。描かれたクマは東急線利用者の誰もが目にしたキャラクターでした

 

 

 

ドア注意喚起ステッカーのクマは、カルビーのポテトチップスの「ポテト坊や」を考案したことなどで知られるイラストレーター、原田治さん(1946年〜2016年)が描いたもので、実は日立のルームエアコン「白くまくん」(2代目)のイラストを基にしたものといいます。

 

東急のクマは1980年ごろから使われているらしく、原田さんも後年ブログで「ずいぶん長い間よく働いてくれるクマですね」と感慨深く振り返られていました。45年以上の活躍を思えば、現在50代半ば以下の人は子どもの頃から親しんできたことと思います。

 

 

筆者が昨年春に乗車した東急大井町線の9000系。何となくドアを撮りましたが、なぜ奥のクマ(ドア窓下部のステッカー)を撮らなかったのでしょうか。沿線に住んでいたころからクマは暮らしに溶け込んでいて、趣味の記録としては対象外だったようです…

 

 

 

筆者は幼少期、地下鉄日比谷線で東急7000系に乗ることがありましたが、クマをしっかり認識したのは学生時代でした。もう「ひらくドアにごちゅうい…」と平仮名で注意喚起される年齢でもなく、ステッカーの位置も目線よりだいぶ下でしたが、クマの優しいタッチが印象深く、東急線利用時はひそかに癒やしの存在でした。

 

先日「見納め」のニュースに接して、久しぶりにこのクマを思い出しました。あまりに日常に溶け込んでいたので驚きましたが、冷静に思うと、同社には「のるるん」というキャラクターがいるので、引退はある意味で既定路線だったのでしょう。

 

 

筆者の撮影記録から発見した東急のクマ(乗降ドアの窓下部のステッカー)。ステッカー自体を写したものではないのですが、クマの活躍の様子は感じ取れるように思います。この2006年ごろの写真、何系の車内かお分かりになりますか?(停車駅の路線カラーやドア窓の大きさがヒントになるかもしれません)

 

 

 

採用から40年以上という年月を思うと、この東急のクマは〝定年退職〟のようにも見えます。遠く本州西端で暮らす筆者ですら思い出があるので、きっとクマを日々見ながら背がどんどん伸びて大人になった人々には忘れられない存在でしょう。イラストなどのデザインの、社会での意義と役割を改めて感じました。