肢別過去問集の使い方について
行政書士試験の独学において欠かせないのが肢別過去問集と思います。実際に使用していましたし、これがなければ独学で合格できなかったと感じています。
肢別過去問集を使用して合格された方はほとんどの方がグルグル回転させる勉強法を実践されています。900ページ以上あるこの問題集を1週間に1回転させるような方法です。(結果的に私も勉強をしていた頃には1週間に1回転していました。)
人によっては20回以上回転させている方もいるようです。挙句の果てには過去問だけで合格できる!みたいなことを言っている人もいました。疑いしかないです。過去問だけで合格?さすがに無理だろ?とか思ってましたが、効果があるのは疑いようもなかったので取り入れることにしました。
そんな勉強法意味あるのか?と感じる方もいると思いますので、実際にやったことで感じたことを独断と偏見で書きたいと思います。
実践したこと
当たり前のことですが、肢別過去問集に取り掛かる前にテキストを読みます。インプットですね。
1節なのか1章なのか切りのいいところまで読んでから肢別過去問集の該当ページに取り掛かります。できれば即アウトプットが理想です。解説も詳しく書かれてますので、解説からも新たな知識をかなり習得できます。解説を軽視してるとゲームオーバーです。
このインプットとアウトプットはセットで行わないと効果ありません。まとまった時間をとってやった方が後々効率いいと思います。生活の一部に組み込んで習慣化していました。隙間時間とかはこの1セットでわからなかったところの復習に充てるべきだと思います。隙間時間で切れ切れにインプットしても定着しにくかったので基本的にはやりませんでした。人によりますのでここはやりやすいようにすべきですね。
全ての範囲でこの作業を進めていきます。全範囲一度通すことが大事です。全範囲を通すことで例えば、憲法と行政法って意外なところで繋がってる!とかわかってきます。
(予備校とかではこの辺の繋がりとかを事前に教えてくれるのかもしれないですね。)
憲法や行政法や民法で躓いて立ち止まっていたら全然進めません。1周目だし、どうせグルグル回して試験直前までかかって理解しますのでこの段階で深い理解は不要だと思ってました。でも、この分野は苦手だなと知っておくことは大事ですね。(テキストに付箋貼って、『苦手』って書いてました。理解できたらはがします。)
この勉強法は繰り返しが必要なので、精度は低いかもしれませんが、スピード感をもって進めるべきです。何回もやっていれば精度も上がってきます。精度を上げていく必要もありますが。だらだら進めると10月の段階で商法会社法に到達できないということになりかねません。(行政法や民法を疎かにしてまで全範囲にこだわることはないと思いますが、商法会社法捨てるのはもったいないです。)
1周すると苦手な分野がなんとなくわかりますので、2周目以降は肢別過去問集を先に解いてわからない所はテキストに戻るという順に進めました。
(2周ぐらいはテキストを読む。→肢別過去問集の該当箇所を解く。をやった方が確実に力がつくと思いますが、時間がなかったのでやってません。)
これ以降は肢別過去問集をグルグル回していくことになります。
ここからの回し方がポイントですね。
確かに単純に解いては答え合わせをしてを繰り返しても、解説がしっかりしているので、解説を理解しながら進めることができれば相当理解が深まります。点で理解していくみたいなことを言う人がいましたが、ここがその作業ですね。この作業で辞めてしまったらその問題しか解けません。最終的にテキストに戻って全体像の確認です。でも、全部解けば問題から全体像が把握できるぐらい肢別過去問集は問題数が多いのでこれをグルグル回転させることで知識が深まってるんでしょうね。この辺ぐらいから肢別過去問集にテキストの情報を追記していくと、周辺知識が問題を解くたびに広がります。
例えば1番の問題を例にとってみると
審査請求の申立ては選択できるのではなくて、書面を提出しないといけない。事情がなければ口頭ではダメ。って覚えると思います。
当然ですが、解説にももっと詳細に書かれていますので中途半端にではなくしっかり覚えます。
申立ては基本的には口頭ではできないということは正しいですが、関連事項として
審査請求の審理においては、申立人の申し立てがあれば口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
という決まりもまります。
審査請求=書面で行う。口頭ではできない。
ぐらいの知識しかなければ「口頭はダメ。」として間違える可能性があります。この辺りは基本事項なので間違える人の方が少ないところですが、申立てと審理は別物で似たような表現なので問題文を読み間違えたりしてケアレスミスする可能性もありますので注意が必要です。なので意識するために、この場合は結論が違うみたいなことは自分でわかるように書いておくべきです。テキストなどで流れを知っていれば難なくですが、肢別過去問集が中心だと怪しくなります。(多分合格するような人は知識の関連付けで当たり前にやってると思いますが。)
解説を理解することにつながりますが、ここで条文や判例を一緒に拾うことができるかどうかも重要です。解説文自体が条文になっていることもあったりしますので、答えを覚える(解説も含め)と自然と条文の知識もついてきます。注意するのは条文の文言は正確に覚えることです。判例の結論であれば雰囲気で覚えていても試験で正解できるかもしれないですが、条文知識を問われた場合は正確に理解しておく必要があります。条文も正確に知っていれば初見の問題でも間違いがすぐにわかったりすると思います。
前にも書きましたが
重大な過失なのか過失なのかは過失は過失でも大きく違います。やんわりと過失系ぐらいに覚えてると間違えます。
(故意または過失?、故意または重大な過失?みたいなものが区別できるように回すことだと思います。間違えやすいところは書き出して明らかに目につくようにしてました。)
一問一問細かいですが、こういうところが無意識にでもちゃんと意識できている人がグルグル回して結果を得ている人だと思います。そんなこと当たり前と思いますが、数が多いと疎かになりがちなところです。
まとめ
肢別過去問集をグルグル回すことは効果的だと思います。
非常に優れた問題集です。
結局は使い方の問題です。
問題を解く → 〇×判定 → 根拠条文・根拠判例のイメージ → 関連事項のイメージ
こういう流れで解いていました。根拠条文があやふやならとにかく書いてました。
解けるようになることが目的ではないです。〇×の判定という意味では解けるようになります。解けなかった問題が解けるようになることはもちろん必要ですが、解き方が重要です。その問題に対して、条文も完璧に覚えてしまい、周辺の関連知識やその条文に関連する判例まで浮かんでくれば、もはやその問題を解く必要はないと思います。捨てる勇気?みたいなやつです。その方が限られた時間の中でも効率的に進められますし。
でも、時間が経てばしばらく触れていない問題は普通の人は忘れてしまいますので、一定の間隔で、解く必要がないと判断した問題も解いておくべきかと思います。
(そこの判定が面倒だったので全部解き続けてましたが。)
肢別過去問集だけやっていれば合格できるかどうかは人によると思います。これだけやろうという人は少ないと思いますが、あくまでも問題集なので流れも理解できるものではありませんので、模試をやると解けない問題が多いと思います。
・肢別過去問集以外に条文の正確な知識と判例
・肢別過去問集で得た知識がそれぞれに関連付けできるようにする
・ちゃんとまとめられているテキストを読んで全体像として把握
(肢別過去問集で得た知識があっちに行ったりこっちに行ったりしているので)
上記ができていないと肢別過去問集で出てきた問題の類似問題しか対応が難しいと思います。焼き直し問題もあるのでそれでも対応できる問題はあると思いますが。また肢別過去問集をやり込めばテキストも読みやすくなると思います。無駄な読み方はせずに問題を解くための視点で読めるようになると思います。