「そろそろみんなで集まろうって。

 

 

 

 〇〇にも会いたいんだけど出てこれる?」

 

 

 

大学時代の友人たち。

 

 

 

仲が良くて、時々、集まっては馬鹿話して終わる。

 

 

 

今までも何回か誘われていたのだが

 

 

 

まだ夜の飲み会に出ていく状況でもなかったので

 

 

 

断っていた。

 

 

 

今度は昼間、私の家の近所まで

 

 

 

みんながわざわざ集まってくれると言う。

 

 

 

多分、暇で遊びたいだけだろうけど

 

 

 

1人は名古屋から、そのランチ飲み会にやってくるという。

 

 

 

しばらく私が音信不通だったので

 

 

 

死にかけたことは知っていて心配してくれていた。

 

 

 

総勢8名での再会。

 

 

 

「うおーーーーーー!!!

 

 

 

 ○○がいる!!動いてる!!!」

 

 

 

「そりゃ動いてるよ😅」

 

 

 

「良かった、また会えて。

 

 

 

 いや、ほんと心配した。」

 

 

 

「ご心配をおかけしました。」

 

 

 

「え、何があったの、急に??」

 

 

 

「それがですよ・・・・」

 

 

 

私は最初の発熱から、生還までの

 

 

 

根性と奇跡のストーリーをダイジェストで話した。

 

 

 

「えっ、そん時って意識はあったの?」

 

 

 

「どんな痛み?ギュウウって感じなの?」

 

 

 

興味津々で、どんどん聞いてくる。

 

 

 

こうやって突っ込んで来れるのは

 

 

 

気の置けない関係の人だけだ。

 

 

 

会社の人だと、”聞いちゃいけない”と思っているのか

 

 

 

あまり、病気のことには触れてこない。

 

 

 

聞かれない限り、こっちも言わないし

 

 

 

人に病気の説明されても困るだろうと思い

 

 

 

あまり伝えていない。

 

 

 

ただ仕事上はちゃんと分かっててもらった方がいいのだけど

 

 

 

上司も、気になるのはどこまで仕事できるのか、であって

 

 

 

それ以上のことは知ろうとしないし、だから別に言わない。

 

 

 

このへんのさじ加減は、けっこう微妙だ・・・。

 

 

 

そう思うの、私だけかな。

 

 

 

みなさん、どうなんだろう・・・・

 

 

 

「死にかけましたけど、なんとか大丈夫です」

 

 

 

その”死にかけた”の部分は、冗談だと思ってる人がほとんどだ。

 

 

 

ただ、本人からしてみると

 

 

 

別に隠したいこともなく、周りが知っててくれた方が

 

 

 

何かとやりやすい、ということは体験者として知っている。

 

 

 

 

なので復帰後は、同僚に肉体でもメンタルでも

 

 

 

病気の人が発生すると、割とその人が許す限り

 

 

 

治療のこととか、身体の状態とか聞き出すようになった。

 

 

 

「聞いてくれる人がいて、話せて嬉しいです」

 

 

 

そんなことも言われるようになった。

 

 

 

 

「知らなかった・・・エクモってそういうことするんだ」

 

 

 

「熱って怖いんだね、侮っちゃいけないね」

 

 

 

いつも馬鹿バナシしかしない、おちゃらけ友人たちも

 

 

 

いつになく神妙な顔で、へー、とか、それでそれで?とかになっている。

 

 

 

よく、自身の体験を伝える活動、と聞くけど

 

 

 

こういうことなのかな、と思った。

 

 

 

彼女たちも、バリバリのキャリアウーマン揃いで

 

 

 

立派に会社の経営陣となっていたり

 

 

 

重要ポジションを担って活躍中だ。

 

 

 

健康は二の次の典型的な人々。

 

 

 

「いや、○○の体験、ほんと貴重だよ。

 

 

 

 勉強になる。」

 

 

 

そんなこんなを話しながら

 

 

 

私はノンアルコールだったけど

 

 

 

だんだん彼女たちは昼間から

 

 

 

ワインをガンガン空けてベロベロになっていった。

 

 

 

「でもさー、なんか

 

 

 

 ○○、すっきりした顔になったね」

 

 

 

1人が私に向かって言った。

 

 

 

「え。そう?」

 

 

 

「うん。なんかさー

 

 

 

 何かへばりついてたものが取れたっつーか

 

 

 

 なんか清々しい、すっきり抜けた顔してる。」

 

 

 

「うん。私もそう思う!変わった。羨ましい。」

 

 

 

「羨ましい?」

 

 

 

「なんかね・・・

 

 

 

 私なんか、まだガツガツしちゃってるからさ・・・」

 

 

 

みんなはまだ闘いの(?)真っ只中だ。

 

 

 

ガツガツが悪いわけじゃない。

 

 

 

ただ、私の場合は、”そのガツガツ、中断した方がいい”

 

 

 

と何かの力が働いたのだろう。

 

 

 

今では、中断させてくれた力に感謝しかないけど

 

 

 

ガツガツも、そうでないのも

 

 

 

どっちもありで、どっちにシフトするかは

 

 

 

その人のタイミングでしかない。

 

 

 

ゆらゆら、それでいいんだと思う

 

 

 

昼間から散々酔っ払って

 

 

 

これから横浜に繰り出すという友人たちを

 

 

 

改札口で見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

続きは次回。