「○○さん、大丈夫そうなので

 8時に人工呼吸器、抜きます。」

 

主治医の声で朦朧と目を開けた。

 

(はい・・・)

 

そもそも状況が半分はわかってないので

 

とりあえず管の入った口を開けたまま目でうなずく。

 

 

・・・で、予定時刻。主治医の先生がやって来た。

 

 

「じゃあ、今から抜きますね。

 

 抜くのはいいんですけど、思ってるより苦しいんで

 

 頑張りましょう。」

 

 

(ん???・・・・)

 

 

と思ってるや否や、先生の手が近づいて来た次の瞬間、

 

口から気管の中に入っているぶっとい管がすごい勢いで抜かれ始めた。

 

 

「ぐうおぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっっ!!!!!」

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっっ!!!!!」

 

 

叫び声にならない声を出し、壮絶な苦しさに

 

目をグアーーーーっと見開きジタバタともがくしかなかった。

 

 

「口閉じないでっ!!!開けて開けて開けてーーーーっ!!!」

 

 

先生も看護師さんも、ほぼ叫ぶに近い声で

 

救命の集中治療室の一画、現場は騒然だ。

 

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!!」

 

 

アタマ真っ白、目は爛々、全身はヒクヒク、

 

 

苦しいのと恐怖で半パニック状態のうちに

 

 

その「抜管」と呼ばれる壮絶な儀式は終わった。

 

 

思ってるより苦しいんで・・どころじゃないって。

 

 

 

 

続きは次回。