今日の東京は温かで晴れ、最高気温は17度だったようです。

一昨日は雪雪だるまだったのに、今日は日なたならコートを脱いでもよさそうな陽気。

まさに諸行無常ですね。

 

同じことは続かない。

ならば、今、ご苦労をされている方も、もうすぐの辛抱ですよウインク

 

 

今日の御講師は、広島県三次市 西覺寺の伊川大慶(いかわだいけい)師です。

1984年生まれだそうです。

 

 

 

 

青字が伊川師の言葉の要約です。

 

 

<何になる>

 

私の地元で、200人の小学生を集めて、

自分達の「街の探検」をしようという企画がありました。

開会式の挨拶がありましたが、開会の挨拶はあるお寺の住職さんでした。

住職さんは小学生に、こう言いました。

 

住職 「みなさんは小学生ですね」

小学生 「はーい」

住職 「皆さんに質問があります。

     小学生が終ったら、何になりますか~?」

小学生 「中学生~」

住職 「中学生が終ったら、何になりますか~?」

小学生 「高校生~」

住職 「高校生が終ったら、何になりますか~?」

小学生 「大学生~」

住職 「大学生が終ったら、何になりますか~?」

小学生 「社会人~」「会社員~」「大人~」

住職 「社会人や会社員が終ったら、何になりますか~?」

小学生 「おじいちゃん~」「おばあちゃん~」

住職 「おじいちゃん、おばあちゃんが終ったら、何になりますか~?」

小学生 「ひいおじいちゃん~」「ひいおばあちゃん~」

住職 「ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんが終ったら、何になりますか~?」

 

小学生 「ほね~」

 

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雪深い北海道の小学校でのお話です。

理科の時間です。

先生が聞きました。

「氷が解けたら何になりますか?」

生徒が答えます。

「水になる」

 

ところが一人の女の子がこう答えました。

「春になる」

 

世間のテストなら、これは×です。

でも、仏さまのテストなら、これは〇になります。

 

 

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死んだら骨になる。

そこから先の答えがありません。

 

ところが、子どもは初めから、そのような価値観を持っていないですよね。

大人が

「死んだら骨になる」

そう思っているから、

その先のことを大人が知らないから、

200人の子供のうちの、190人くらいは「骨になる」と純粋に答えたのです。

 

「死んだら骨になる」も

「氷が解けたら水になる」も

本当のことですが、

その価値観だけで生きていくとしたら、

それは大人も「辛いこと」ではないですか?

 

この価値観で生きていくのか、

違う価値観で生きていくのか。

よく、自分に問うてみましょうか。

 

 

<不思議の命>

 

みなさん、宝物はありますか?

仏教では三つの宝があると言うのです。

「仏」「法」「僧」です。

仏とは、仏様のことです

法とは、仏様の教えのことです。

僧とは、僧侶もですが、仏法を聞く仲間のことです。サンガとも言います。

 

ここにいる方は、みんなサンガですよね。

皆さんは、今日ここにいますけど、

どのくらい前から、ここに来る予定をしていましたか?

小学生の頃から、2023年2月12日の今日、ここに来ようとか、

法話を聞きに行こうとか思ってました?

ないですよね。

 

人のいのちなんですが、

「盲亀浮木(もうきふぼく)」という、涅槃経の例え話があります。

人に生まれてくると言うことは、

「大きな海の中に住んでいて、100年に一度だけ水面に浮かんでくる盲目の亀が、

漂流する浮木の穴に首を入れる確率」のようなものだと、お釈迦様は言いました。

 

つまり、

人間に生まれる事は、

奇跡に近い出来事だと

仏教では捉えるんです。

 

そうです

私のいのちとは

「不思議」な 

・・・・ 思議(考える事)が出来ない

いのちなんですよ。

 

どうして、今日、生きてるんですか。

どうして、今日、ここにいるんですか。

 

さまざまなご縁の中で、今日はここにいるんですよね。

今、ここにいる。

今、話しを聞いている。

 

これって、

自分の力じゃないんですよ。

 

ご存じでしたか。

 

 

<はい。また来ますね>

 

仏教の言葉に

往相回向(おうそうえこう)と、

還相回向(げんそうえこう)があります。

往相回向とは、お浄土に行く姿のことです。

還相回向とは、お浄土から、

この穢国(えこく:この娑婆世界)に帰ってくることです。

それも元の場所に戻ってきて、有縁の方を強化します。

ただ、穢国に帰るだけではなく、この世に残る人を仏法に導くのです。

 

亡くなった方は

死んで終わりの命ではありません。

亡くなって、お浄土に行った後、

次の仕事は、還相回向の働きなのです。

 

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ご門徒のおばあちゃんの話しです。

おばあちゃんが亡くなって、1周忌の時です。

 

その家には「ウエルカムボード」がありました。

よく、結婚式で新郎新婦がニコッと笑って、

来賓をお迎えする「ウエルカムボード」が有名ですが、

その家はおばあちゃんが、「にこ~っ」と笑った写真がボードに貼ってあります。

そこには

 

「私は仏さまとなって、みんなを見守っていますよ。

家族みんな仲良く、がんばりなさいよ」

 

満点の笑顔写真と共に、そんなメッセージが書いてあるのです。

それを見た弔問者は、みなさん笑顔で帰って行ったそうです。

 

亡くなっても、また、ご家族はおばあちゃんと出会っていく。

亡くなっても、おばあちゃんは、優しくみんなを導いていく。

 

素敵なお話ですよね。

 

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私のお寺には、ご門徒のAさんから寄贈された大きな柱時計があります。

柱時計ですから、時間がくると、ボーン、ボーンとなっていきます。

 

寄贈後、Aさんは亡くなったのですが、このボーン、ボーンが鳴ると

私には、Aさんのお顔が浮かんでくるのです。

私が楽しい時も、ボーン、ボーン

私が悲しい時も、ボーン、ボーン

私が仕事中に眠くなっても、ボーン、ボーン

 

Aさんは、

死んで終わりの命ではなく、

今、ここに帰ってきて、

私と一緒にいてくれているのだと

私は思っています。

 

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本願寺第21代門主、明如様の次女で九条武子(くじょうたけこ)さんがいます。

仏教校、京都女子大を卒業し、歌人であり、社会慈善活動に尽力されましたが、

慈善活動の過労がもとで敗血症になり、

昭和3年にわずか42歳で亡くなっていきます。

その時のことです。

 

お兄さんが武子さんの枕もとで言いました。

お兄さん 「お浄土に行っても、また、戻ってくるんだぞ」

武子さん 「はい。また来ますね」

 

お二人とも、仏法を聞いて育ちました。

この娑婆の別れは悲しくとも、

それは、

一時(いっとき)の事なのです。

それを知っておられたのですね。

 

 

<私が先に亡くなれば>

 

私の母の父、つまり、私のおじいちゃんが3年前に亡くなった時の話しです。

私は3人兄弟ですが、おじいちゃんはよく孫を可愛がってくれました。

おじいちゃんは島根県のお寺の住職でしたが、私達、孫が広島から行くと

3人まとめて抱きしめて、ひげをじょりじょりと、こすってきます。

「可愛くて、しかたない」という感じでした。

 

そんなおじいちゃんも、晩年は認知症になっていました。

孫の顔もよく分からなくなりました。

いよいよ、命が危ないと言う時期になってきました。

私がたまたま、島根の近くに行ったとき、

「今度いつ会えるかわからないから、会っておこうかな」

そんな思いから、おじいちゃんの家に電話をしたことがあります。

その時はお母さんの妹の旦那さんに住職を代わっていましたが、

「コロナの時期だし、またにしようか」となりました。

私は納得して諦めたのですが、

実はその後、直ぐにおじいちゃんは亡くなりました。

 

私は今もすごく後悔しています。

あの時、無理しても会っておけばよかった。

会って、ありがとうを言っておけばよかった。

本当に心から思っています。

 

おじいちゃんの葬儀の時、

車で日本海を走ったんですよ。

夕陽がきれいでね。

お浄土は「西の方角にある」というのですが、

沈む夕陽を見ながら、

おじいちゃんはお浄土に行ったんだなと本気で思いました。

 

夕陽がきれいなのは

どこかを照らす朝陽だから

 

ご存じですか?

夕陽は沈むと、地球のどこかでは、それが朝陽になるんですって。

何だが素敵ですよね。

 

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私、鼻が悪くて、手術をすることになったんです。

全身麻酔でしたが、お医者さんが事前説明で私に言いました。

「全身麻酔をすると、何万人に一人、そのまま目を覚まさない方がいます」

うっびっくりと、思いましたが、もちろん手術を受けることにしました。

 

手術の当日です。

妻からメールが来ました。

「念ために伝えておくね、今までありがとうね」

私は

「今かよ!」笑い泣きと思いましたが、

 

ああ、あの時と、

気づくのは、いつも後になってから

 

そんなことは、ないですか?

ですから、

ご縁が整ったら、

やっぱり「今」なんです。

 

妻が最近言うんです。

「私、浄土真宗で良かった」

 

亡くなっても骨じゃない。

また会える世界があり、

また、この世でも、自分を導いてくれる方がいる。

 

この・・・

「私、浄土真宗でよかった」

このセリフを言わせたのは、おじいちゃんだと思います。

おじいちゃんが、自分の死にざまを見せて、

この世に還相回向で帰ってきて、私の妻を導いていく。

 

ありがたいことです。

 

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亡き人はどこか遠くにいるのではなく、

今日もご一緒です。

いつでも、どこでも、一人ではないんです。

 

私が先に亡くなれば、

私があなたを導きます。

あなたが先に亡くなれば、

あなたが私を導きます。

 

それが往相回向、還相回向なのです。

 

世間にいれば、「死んだらおしまい」としか聞こえてきません。

こういう話も、お寺に来ないと聞けない「価値観」ではないでしょうか。

 

 

お願い  お願い  お願い  お願い  お願い  お願い  お願い  お願い  お願い  お願い  お願い  

 

 

往相回向と還相回向のお話、いかがでしたか。

「人は死んだら骨になる」より、

「氷が解けたら春になる」

 

そんな価値観に目覚め、

見えないものを見る力、感性を磨き上げたいですね。

 

最後に一言。

この仏法ブログ

あなたが見に来ているのは、

あなたの力ではないかもしれませんね。

あなたの有縁のどなたかの、

尊い導きがあるのかもしれません。

 

このブログはともかく、

日常のいろいろなことは

誰かの尊い導きと

今日はそんなことに

気づいてみませんか。

 

ちょっと楽しいかも🦆

ちょっと嬉しいかも🦆

 

 

今日もようこそのお参りでしたお願い