少し前の話題ですが、記事にしてなかったので記録のために「水循環法案」について整理しておこうと思います。
水循環法案は、先日の問責決議のせいで廃案になった法案です。
検索すると法案の前には必ず「外資による山林買収を防ぐため」と付いています。
中国による北海道などの森林が買収され、水資源が奪われていることは何度も話題になりました。
そこで、自民党支持者たちは、「アベチャンが国を守ろうとした法案野党が潰した!」と騒いでいるわけです。
もちろん私も、安倍政権が行なう政策がすべて、悪いものだとは思っていません。
しかし、同時に発送電分離や電気事業への外資参入を含んだ電気事業法案も潰れており、それを天秤にかければ、問責決議により4法案が潰れたのはよかったのではないか、と思います。
というわけで、水循環法案がどんなものなのか少し整理しておこうと思います。
まずは新聞記事
外資の森林買収に対抗 水循環基本法、今国会成立見通し
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130618/plc13061800450001-n1.htm
この記事は廃案になる前の記事です。
抜粋
・国内の水資源の保全を目的とする「水循環基本法案」が17日、今国会で成立する見通しとなった。
・水源地となる森林が中国資本などに相次いで買収されていることを受け、政府に必要な法整備を求めているのが柱。国内の水資源を「国民共有の貴重な財産」と位置づけ、首相が本部長を務める「水循環政策本部」を内閣に設置し、7省庁にまたがる水資源を一元管理することを明記した。
・法案は、超党派の議員連盟「水制度改革議員連盟」が策定を進めていた。自民、民主両党は昨年の通常国会への法案提出を目指し、各党に呼び掛けて準備を進めてきたが、衆院解散などに伴い見送っていた。
抜粋終わり
この記事でも、国内の水資源の保全を目的とする「水循環基本法案」と書かれています。
しかし、法案は、昨年末に自民民主両党が提出を目指していたと書かれています。
当然ながら、アベチャンが国のために作った法案ではなかったわけです。
それでは中身を見ていきます。
水 循 環 基 本 法 案 の 概 要
http://www.mlit.go.jp/common/000227589.pdf#search='%E6%B0%B4%E5%BE%AA%E7%92%B0%E6%B3%95%E6%A1%88'
これは一年前の資料ですが、どこにも外資から守るとは書かれていません。
それどころか、基本的施策8に「8.国際的な連携の確保及び国際協力の推進」と書かれています。
正確にはこうです。
水循環法
(国際的な連携の確保及び国際協力の推進)
第二十一条 国は、健全な水循環の維持又は回復が地球環境の保全上重要な課題であることに鑑み、健全な水循環の維持又は回復に関する国際的な連携の確保及び水の適正かつ有効な利用に関する技術協力その他の国際協力の推進に必要な措置を講ずるものとする。
私は、かなり怪しいと思うのですがどうでしょうか?
この条文を見て外資に売り飛ばすんだ!とするのはあまりにも飛躍しすぎとは思いますが、公式的な概要には、外資から森林や水資源を守る、などという文字は一切見られません。
水循環基本法の変遷
http://www.aqua-sphere.net/es/ws/junkan/j120202.html
こちらのサイトはよくわかりませんが、水の専門サイトのようです。
抜粋
「縦割りの水制度と水管理体制は人と水のあるべき姿を歪め、水循環サイクルを破壊して久しい」
と水行政が複数の省庁にまたがる現行の体制を批判した上で、
「地方主権的かつ統合的な水管理システムの実現を期する水循環基本法の早期制定と抜本的な水制度改革の断行を求める」
と基本法の重要性を強調した。
抜粋終わり
水制度改革議員連盟HP
https://2012nakagawa.sakura.ne.jp/mizugiren_02/summary.html
抜粋
水の管理は河川流域を単位として統合的に地域主権的に行うべきであると考えます。上流の森林や農地から下流の沿岸部までを構成する地方公共団体は、流域圏として相互に協力し統合的に管理できるようになります。
現在、テレビや新聞等で報道されておりますが、世界的に水の資源価値が高まる中で、外国資本を含め取水を目的とした水源地の無秩序な土地買収に歯止めをかけることができます。また、各自治体においても企業や個人の取水に規制をかける根拠となり、水源保全につながるものと考えます。
抜粋終わり
この二つのサイトからわかることは、流域連合なるものを地域主権的な地方自治体を中心として構成し、流域連合が水資源を管理する、というものです。
つまり
道州制の元、道州が水資源を管理する。
そのことによって、外資の買収を防ぐということです。
ほんと馬鹿げています。
道州が管理すれば、国が管理するよりも外資に狙われやすくなるのは明白です。
まさか調べることによって、外資から水資源を守るどころか、外資が参入しやすくなるとは思いもよりませんでした。
しかし、これが安倍政権がやろうとしていたことなのです。
水循環基本法(水制度改革国民会議とりまとめ案)の概要
http://www.kouiki-kansai.jp/data_upload/1363661422.pdf#search='%E6%B5%81%E5%9F%8E%E9%80%A3%E5%90%88'
こちらは、2009年の概要です。
抜粋
6 中央政府の行政組織及びその再編整備
(1)水循環庁の設置
・水循環庁は、水循環社会の実現に向けて基本的施策の推進のための全ての事務を所掌する。
・また、水循環に関わる現行の個別制度の全てを所管し、統合的水管理体制に移行する。
・ただし、将来の道州制の導入も踏まえ、政策実施権限の多くを「流域連合」に委譲する。
抜粋終わり
私はこれがこの法案の本質だと思います。
今回のニュース記事では、「流域連合」などは隠蔽されています。
この法案は将来の道州制を踏まえたものであり、道州が水資源を管理することにより、外資が参入しやすくなる。
こう考えて間違いはないでしょう。
そもそも、この問題は、地方が、利益を目的として、国防などを踏まえずに、審査もせずに外資に土地を売ってしまう、というのが発端です。
その対策として、国が管理するはずだったのですが、この法案では、道州制になれば、国が管理するのではなく、道州が管理する、となっています。
調べると、こういう結果になったことは記事にしておきたいと思いました。
もちろん、アベチャンが道州制になっても、こういう過去の法案は無視して、国が水資源を守ると勝手に妄想するのは自由です。
