この帯に書かれた文を見ただけでも、わくわくしてくるではないか!
「偶然に、未来から、やって来る。」
こんなに希望に満ちた言葉って他にある?
これって、一体どういうこと!?
それだけで読み進めて、あー、こういうことだったのかと納得。
ペイフォワード。
ただ、ここに行き着くまでの考え方の道筋が、おもしろく楽しく、哲学、仏教、落語、いろんな文化を含めて、語られていく。常に、なるほど、なるほど、それで、それでどうなって?
なるほど、なるほど!それで?それで!と、一つ一つ、知らないことから、すでに自分の中にあったものとが繋がっていく快感!
だからね、こういうことなんだよ、と、説明したいけど言葉より感情の方が大きくなってしまって、うまく伝えられない、そんなことを、見事に、言葉にして表してくれた、そんな本なのだ。
この本を読みながら、いろいろな場面、たぶん、関連しているのであろうことが、次々心に浮かんできた。
例えば・・
父が亡くなり、母が働くようになって、母の職場の先輩が、自宅に、おむすびを、何回も届けてくれたことがあった。弟はまだ小学生だったから、母にしたら、それはそれはありがたいこと。どうお礼をしたらいいか、と感謝すると、その人はこういったそうだ。「今度あなたが、逆の立場になった時、そうしてあげればいいんだよ。恩は、次の人におくってね。」
何回も、母から聞いた話。恩返し ではなく、恩送り という言葉であることを後で知った。
また、これは私の体験だが、時々思い出される誰かにかけてもらった言葉、とか、テレビドラマの一場面とか。それを思い出すことで、よし!と元気になれることがある。それも、その言葉をかけた人、テレビドラマを作った人から見れば、私がそう感じた瞬間こそ、思いがけず利他、となっているのではないかしら。
もしかしたら、私が、誰かにかけた言葉が、そんなふうに、誰かに、思い出されたりしたら、その時こそ、私にとっての思いがけず利他。
ある人が、あるものによって気づきを得た時、それまで、自分の中にあったよくわからない痛みや、悩みが、一気に、輝く光に変わっていくことがある。その瞬間こそが、そのあるものが、利他となった瞬間で、気づきを得たその人のかけがえのない宝となる。そんなふうに思う
利他 という言葉自体、不思議なことばだった。利己はよくわかる。その反対。
どうしたって、人間は、自分中心で、油断していれば利己のことしか考えていない。というか、命を守り生きていくために、必要なことではある。だけど、やはり、それだけでは気持ちが良くない。それで利他を考える。でも、WIN WINというのとも違う。決して取引ではない。
では、その差は?
考えていけばより、深く、真髄に近づいていく。自分自身の真ん中に、いかざるを得ない。
あー面白い。
読み終えてしまうと、残念な気持ちになるほど、面白い。
この先は、どうぞ、本を読んでみてください。^_^