台風の前、友人から届いたものがある。
丁寧に包装されて、プレゼントのような小包。開けてみると、手紙と、手のひらほどの円いケースに可愛い小さなマドレーヌが、いっぱいに入っていた。
それは、友人が、無事に60歳の誕生日を迎えられたことへの感謝の気持ちを伝える贈り物だった。
無事に、干支を一巡することができました、と。

「わぁ。干支を一巡。そっか。もうすぐ私もそういうことか。」

そして、気づいたのだ。

私のお誕生日って、私だけのものではなかったんだ、って!!

私は、自分のお誕生日を、お祝いされること、うれしいんだけど、気恥ずかしいところもあって、FBの誕生日公開も、消してしまった。

母が亡くなる、1ヶ月前、私の誕生日があったのだけれど、訪問看護師さんとのことや、いろいろ決めなくちゃならいことがあり、私は、「今回はいいや」って思ったのだった。いつもは私がケーキを買ってきて、私の誕生日だよって、みんなで食べたのだけれど、それもしなかった。
それより2ヶ月先の母の誕生日まで、母は持つんだろうかって気になって。
そして、母は、6月の誕生日を迎えることなく、5月の末に亡くなったのだけれど、4月の終わり頃に、母が、言ったのだ。
「ちーちゃん(私のこと)の誕生日すぎちゃった?悪かったね」と。

私は、「別にいいから」ってサラッと流したのだけれど、今回の友人の贈り物と手紙を読んで、私はなんてバカだったんだ・・と気づいた。

私の誕生日は、私だけのものじゃなかったのに。母が、私を産んだ日だったのに。

忙しくても、「今日は私の誕生日だよ」って、言えばよかった。
そしたらきっと、母は、笑ってくれたにちがいない。

私は決して、1人でこの世に来たわけじゃない。
そして、今も、こんなに大切なことを、優しく伝えてくれる友達がいる。

Mちゃん、ありがとう。
そして、おかあさん、ちゃんと気にかけてくれていたのに、言わなくてごめんね。

これからは、私の誕生日、今までより、もっと大切にします。