日本ワイン「BEAU PAYSAGE]ボー・ペイサージュ | 吉祥寺 ワイン&レストラン ボナペティのブログ

吉祥寺 ワイン&レストラン ボナペティのブログ

常時300種以上のワインをそろえた、シニアソムリエがいるレストランです。

令和3年1月の「Vin de Natureの会」でご紹介する「ボー・ペイサージュ」の2016ヴィンテージについて、リリース当時の説明文をご紹介いたします。

下記にありますように、2016年はそれまでで一番厳しい年だったようで、一時は収獲がゼロになるかもしれないというところまで追い詰められたそうです。質的にも一時は絶望していたそうですが、最終的にはそれまでのヴィンテージの中でも非常に個性的で興味深いワインになったそうです。特にソーヴィニヨン・ブランは約1樽分となったうえに借りていた蔵原の畑を返却することが決まっており、蔵原のワインとしては最後の仕込みだったそうです。

 

BEAU PAYSAGE  2016 Vintage

2016年は8月までは非常にいい年でした。空梅雨で開花期の天候は安定していて結実量も多くなりました。6月7月と降水量の少ないまま推移し8月に入っても天候は安定していました。そのためぶどうもとてもいい状態でした。ところが9月に入ると気候はがらっと変わり月間の降水量はそれほど多くないものの日照時間は平年の6割と極端に少なくなり過去最低となりました。あんなにきれいだったぶどうも20日を過ぎるころになると急激に畑全体が傷みはじめました。仕込みが間に合わずに収穫がほとんどできない畑も出してしまいました。白品種には主に晩腐病や裂果、スズメバチにより痛みが進み、赤品種は特にメルローで晩腐病による影響を激しく受けました。

 

これに対応した岡本さんの「ひとこと」

2016年は本当に困難な年でした。この年を理解する重要なポイントは2つあります。一つは収穫時期。仕込める糖度には達していたのですがぎりぎりまで待つことを選択したことです。結果的にこの判断が量的にも質的にも大きな影響を与えることになった訳ですが振り返って「もう一度やり直せたらどうするだろうか?」と何度考えても同じ判断をしたと思います。自分にとってはたとえ多くを失っても完熟していないぶどうでそれなりのワインを造ることに意味を見いだせないということを認識しました。二つ目のポイントはあのような状態のよくないぶどうに対しても醸造・熟成過程で酸化防止剤を使用しなかったこと。精神的にもぎりぎりまで追い詰められた状況でブレずに正しい判断ができたと思います。結果的に今までのワインとはまったく違うものですがBEAU PAYSAGEらしさはより深く感じていただけると思います。それはありのままを受け入れようということですがこのような究極な年でも変わらずにいられたことで自分も自分の中にある意識とその強さを再認識することができました。