ワキ700を「救援車代用」に | 書斎の汽車・電車

書斎の汽車・電車

インドア派鉄道趣味人のブログです。
鉄道書、鉄道模型の話題等、つれづれに記していきます。

 マイクロエースのワキ700を改造してみました。

 

 実車は、何度もご紹介していますが、海軍省所有の私有貨車ということで、航空魚雷等を輸送するために生まれました。車内にホイストを備え、大きな側扉を持ち、高速運転可能なTR24台車を履くという、個性の塊みたいな貨車です。しかし、誕生から2年程で敗戦、海軍は解体し本来の目的を失ったのでした。

 30輛あったワキ700ですが、戦時中に4輛が廃車(戦災廃車?)、残る26輛が国有財産ということで、一旦大蔵省に移管されました。のちに所有権は日本国有鉄道に移りますが、とにかく長すぎる「戦後」を生きなければならなかったのです。

 昭和27(1952)年には、無蓋貨車トキ10形を配給車(電車)のクヤ7(後のクル9210)に改造した際に、トキ10のTR20台車と、ワキ700のTR24台車を振り替える措置がとられます。該当したのは5輛ということですが、この5輛は持ち前の高速走行という特徴を放棄させられたことになります。

 TR24のまま残った車輛は、連合軍専用客車となったり、荷物車代用として活躍したりとエピソードも豊富ですが、台車振替車ともども次第に事業用貨車として使用されるようになります。特に車内にホイストを備えた本形式は、救援車代用として使われることが多かったようです。形式消滅は昭和52(1977)年といいます。

 

 さて、模型のお話です。マイクロエースのワキ700ですが、台車を同じメーカーのトキ10が履いていたTR20に替えてみました。(台車を失ったトキ10については、今後身の振り方を考えましょう)実物と同じ改造ですが、こうなると事業用車(救援車代用)として使うしかなくなります。

 白帯のデカールを貼った後、「R-工房」さんから出ているワキ700用デカールでナンバー等を貼っていきます。

 大鉄局所属のワキ701(吹田駅常備・吹田貨車区救援車代用)としました。

 この番号をチョイスした理由ですが、TR20を履く車輛であること、救援車代用となった際に窓を設置する等の改造をしていないこと(たとえば梅小路のワキ702などは窓を設けています)が挙げられます。

 

 ともあれ、いつものお気楽工作でワキ700に変化をつけることができました。救援車となるとほとんど走る機会もなくなり、「車輪の付いたストラクチャー」になってしまうのは致し方のないところです。製品は2輛セットですからもう1輛残っています。こちらも戦後のワキ700としますが、台車の換装は行わず、もう少し華やかな仕様を考えています。

 また、手持ちのもう1セットは、ワキ700本来の「軍用」でと考えていますが、扉が開くわけではありませんので、さてどうしましょうか。それよりも、帝国海軍が存続したと仮定して(さすがにあの戦争で勝てるとは思えませんので、日本近代史そのものを大きく「改変」することになりますが)ワキ70000形を想像してみるのも一興かと思います。

 

 最後は与太話となりました。早めにもう1輛を仕上げて、また当ブログにてご報告します。