「プラハの冬」~鉄コレ・タトラカーを巡るあれこれ | 書斎の汽車・電車

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インドア派鉄道趣味人のブログです。
鉄道書、鉄道模型の話題等、つれづれに記していきます。

 タイトル、間違ってませんか?「プラハの春」でしょう。という声が聞こえてこそうですね。でも、このブログはチェコスロバキア現代史にまつわるものではありません。

 トミーテック・鉄道コレクションの「プラハトラム タトラT3タイプ 2両セット」を巡るお話です。

 

 まずは、パッケージの写真からご覧いただきましょう。

 いつもなら別売の動力ユニットが同梱されています。

 写真ではわかりにくいかも知れませんが、パンタグラフと車輪は金属製です。これで動力が組み込み済みなら、「鉄コレ」ではなく鉄道模型製品となってしまいます。

 

 動力化作業をさっそく済ませましょう。ささやかな台車枠パーツを動力ユニットに移設し、車体を外します。(少々きついですが何とか外れました)動力ユニットに取り付けるスペーサーは、製品付属のグレー色成形の方を使います。連結面側のダミーカプラーを外し、付属のドローバーと交換します。系統板ステッカーも入ってはいますが、プラハ市電の路線図に関する知識はありませんので、製品そのままとしてあります。

 前述した通り、パンタもトレーラーの車輪も交換不要ですので、動力ユニットに車体をはめて完成です。

 日本の路面電車とは一味違う姿が実に魅力的です。

 

 実物は、1950年代から、チェコスロバキアのCKDタトラ社が、アメリカのPCC車をライセンス生産したものです。自国だけでなく共産圏全域に投入されました。その総数は1990年までに2万輛以上といいますから、いわゆるPCC車の中では最大勢力といえます。このあたりの実物に関する知識は、大賀寿朗『路面電車発展史』(戎光祥出版・2016年)によるものです。同書は、PCC車(特にタトラカー)について日本語で読める最良の文献です。

 当ブログでもかなり早い時期にご紹介した本ですが、書影をお目にかけていませんでした。

 裏表紙にはプラハ市電の姿もありますね。

 

 さて、今回はおとなしく(?)プラハ市電のままとしましたが、ピョンヤン市電も似た雰囲気ですし、いささか悪趣味な設定となりますが、敗戦後日本が分断国家となったと仮定して、「日本民主主義人民共和国」の市電(豊原か、札幌か、それとも東トウキョウかは皆さんにお任せします)にしてしまう手もあります。以前ご紹介した池田邦彦氏のマンガ『国境のエミーリャ』では、「東トウキョウ」の路面電車は皆トロリーバス化されている設定でしたが、一路線くらい電車のまま残して、そこにタトラカーを投入しましょうか?

 そんな与太話はさておき、この製品、鉄コレではありますが、限りなく鉄道模型に近い存在です。今後の鉄コレを占う上で意味のある製品となるのではないかと思っています。

 

 ドイツのクリスマス飾り「シュビップボーゲン」をバックに置いて撮影してみました。ちょっと変わったジオラマといった風情です。