模型店の店頭で「鉄道コレクション」の「三岐鉄道801系西武カラー」なる製品を眺めていましたら、これを使って西武鉄道の3代目501系が出来るのではあるまいかと不意にひらめいてしまいました。現在、別の模型にも取り組んでいるのですが、そちらは一休みしまして、西武の3代目501系もどきを作ったお話をします。
そもそも西武鉄道3代目501系とは何ぞやというお話になるのですが、701系を6連化した際に余剰となったクハ1701形を電装し、2輛編成とした電車です。登場は昭和56(1981)年でした。その電装ですが、当時増備が続いていた新101系と同等の性能としたことが、後々問題となりました。以前、西武7000系についてご紹介した折にも書きましたが、併結相手の701・801系との性能特性の違いから、加減速時に前後衝動が生じるなどの問題点があることから次第に持て余され、平成2(1990)年には全車廃車されています。その後、台車などは改造の上10000系に転用されました。
わずか6輛の少数派で、しかも短命であった3代目501系のことですから、資料もあまりありません。西武新宿行きの先頭に立ち活躍する姿は鮮明に覚えているのですが、写真はほとんど撮っていませんでした。書籍では、形式写真の美しさでは定評のある『私鉄電車のアルバム・4C』(交友社)のほか、意外なところで『私鉄の車両6・西武鉄道』(保育社)に鮮明な写真が出ていましたが、それでも不明点が多々あります。今回の工作にあたり、ネットで3代目501系を作られた方の作品もあれこれ拝見しましたが、どの作者の方も資料不足を痛感しておられ、特に屋根上などは推測で工作されている方が多いようです。
さて、私の工作についてですが、種車はクハ+モハ+クモハとなります。「西武カラー」ということで、車体の塗装の心配がないのが嬉しいところです。車体は両端の先頭車を使用し、クモハ501(偶数車)はほぼ製品のまま、クモハ501(奇数車)については、クハの屋根(先頭部)とモハの屋根を切り継ぎ工作しています。台車(FS372)はクハ用と手持ち部品から捻出しています。パンタはトミックスのPS16P、動力については、当初は入れようかとも思いましたが、併結相手のマイクロエース製西武701系との性能の違いから、実物同様の走行トラブルがあっても困りますし、トレーラー化しました。先頭部のカプラーは、これも以前触れましたが、701系冷改車の一統はTNカプラーとしていますので、トミックスのJC25を使いました。床下機器については、最初は横着を決め込んで製品そのままで考えていましたが、やはり101系同様の下回りを再現したく、これも「鉄コレ」の三岐鉄道751系(元西武新101系)の床下機器を流用しました。この際、座席パーツも交換しています。クーラーは銀色としていますが、これはどうやら誤りのようで、ストックしてあるライトグレーのものと交換することになるかも知れません。そして、危うく忘れるところでした、方向幕の「近鉄冨田」を「西武新宿」に変更します。
かくしてとりあえずの完成をみた西武鉄道3代目501系もどき、ナンバーをどうするのかといった問題はまだ残っていますが、私にとっては念願の車輛の一つがラインナップに加わりました。それにしても西武鉄道の501系という電車、歴代「怪力無双」の電車ばかりという印象がありますね。初代は自らは17m級でありながら20m級の付随車を従え、戦後の西武線に新風を吹き込みました。2代目は時に「2M4T」などという無茶な編成を組まされ、最晩年まで高性能車に伍して秩父線ハイキング急行に使用されました。そして併結相手との性能差から寿命を縮めてしまった3代目となりますが、こうなると、電機の代わりを務めているオールMの101系263Fに、4代目501系を襲名してほしくなりますね。