ピストンとバルブのクリアランスチェック | ボメックスいさかのひとり言……

ピストンとバルブのクリアランスチェック

正直、通常のオーバーホールではやらない。

 

しかし、これまでの作業を見てくると・・・

 

正直、信用することができない。

 

 

常識的に考えて、“やるはずは無い!!”

 

と思われますが・・・

 

世の中には“万が一”ということもありますし、

 

正直、手間は掛かりますが、

 

自分の目で確かめることが安心できますよね!!

 

 

と言うことで、ダミーヘッドガスケットを組み付けて、

 

シリンダーヘッド、新しいシム、バルブリフターにカム。

 

カムスプロケットにテンショナー、

 

タイミングベルトを組み付けて、

 

ピストンとバルブとのクリアランスをチェックしました。

 

 

こちらのブログではエンジンパーツの画像を掲載してますが、

 

(エンジンにもよりますが、)

 

ピストンの上部に凹みのあるピストンがあります。

 

 

このピストン上部にある凹みは、リセスと呼ばれるもので、

 

 

ピストンとバルブが干渉しないよう、

 

バルブの形状に合わせて凹み(バルブの逃げ)が施されております。

 

純正エンジン(工場出荷時のエンジン)であれば、

 

もちろんクリアランス計測を行う必要はありません。

 

 

純正部品を使ってのオーバーホール作業でも、

 

基本的にはクリアランスを確認する必要はありません。

 

 

それでは、

 

どの様な状況でクリアランス確認が必要であるのか??

 

ということを考えますと・・・

 

 

まず、ハイカムと呼ばれているハイリフトカムを組み付けた場合。

 

 

上の画像は、純正のカムシャフトを組んだ画像ですが、

 

カム山の頂点が高くなりますと、

 

高くなった分、バルブの開き量が大きくなります。

 

これによって、

 

ピストンとバルブとのクリアランスが狭くなりますので、

 

・ピストンとバルブが干渉していないか?

 

 もちろん干渉していればアウト!

 

・ピストンとバルブは干渉していないが、

 

 どの位のクリアランスがあるのか??

 

ということを確認するために行います。

 

 

それから、

 

高圧縮(ハイコンプレッション)ピストンを組んだ時。

 

 

 

 

また、純正よりも薄いヘッドガスケットを装着した場合。

 

 

ヘッドガスケットを薄くした分、

 

ピストンとバルブの位置関係は狭くなりますので、

 

ピストンとバルブのクリアランス確認を行います。

 

 

最後に、シリンダーヘッドやシリンダーブロックの面研を行った時。

 

 

この場合もピストンとバルブとの位置関係が狭くなりますので、

 

(面研量によりますが、)

 

ピストンとバルブとのクリアランス確認を行っておきたいですよね!

 

 

チューニングエンジンやレーシングエンジンの場合は、

 

これら全ての作業を行う場合がありますから・・・

 

チューニングエンジンやレーシングエンジンを製作する場合は、

 

ピストンとバルブのクリアランス確認は必須となります。

 

 

と言うことで、

 

粘土をこねくりまわして、クリアランス確認を行いました。

 

 

 

今回は、通常のオーバーホールを行う予定でしたが・・・

 

正直、良いところは無かったですよね!

 

 

作業をはじめた当初は、

 

バリ取りが行われていて、良いエンジン(かも?)

 

という風に、こちらのブログでもご紹介致しましたが、

 

エンジンをバラシて行くと・・・

 

正直、“なんで??”という部分が多すぎました。

 

 

そもそも、

 

純正オーバーホールエンジンとして入手したはずなのに、

 

オーバーサイズピストンが組み込まれていた。

 

 

確かに、純正オーバーホールエンジンという話は、

 

間違えは無いと思いますが・・・

 

オーバーサイズピストンが組み込まれているというのは、

 

ある部分で、逃げ場の無いエンジン。

 

私のブログ風で言わせて頂きますと・・・

 

崖っぷちエンジン。

 

 

仮に、純正下取りのリビルトエンジンでは、

 

下取りに該当しないエンジンになってしまう場合もあります。

 

お客様が故意で行った場合では無くても、

 

リビルト業者様には、再生不可能なエンジン。

 

という扱いになることもあります。

 

このような場合は、エンジン代金を負担するのはもちろん、

 

エンジンのバラシ代も請求されることもあります。

 

 

このエンジンを販売された方は、言葉が足りなかったのか?

 

販売したエンジンの中身を把握していなかったのか?

 

正直、私には判りません。

 

 

これはあくまでも私の推察になりますが・・・

 

たぶん、今回作業を行ったエンジンは、

 

2回以上組み直しが行われている可能性があること。

 

丁寧な作業が行われていたのは、

 

前の前以前に作業を行われた方の仕事が残っていたのではないか?

 

そう考えると、これまでの謎が全て解明できますよね!

 

正直、そう思います。

 

 

全てを見た目で判断するのかどうかと思いますが・・・

 

汚い仕事(仕上がり)は、汚いだけの理由がある。

 

 

このような仕事を行って、お客様に納品することができる姿勢。

 

もしかしたら・・・

 

“汚い仕事を行っている”という認識が無いのかも知れません。

 

正直、私には判りませんが、

 

初めてこのエンジンを目にした時は・・・

 

良いイメージを受けることはありませんでしたね!

 

 

そういう仕事をされていたわけですから、

 

このエンジンを信用することはできない。

 

 

ピストンのリセス部に粘土を載せ・・・

 

エンジンを組んで、クランクを回せば終わりではありません。

 

粘土の凹みを確認することはもちろん、

 

ピストンやバルブに付着してしまった粘土を全て回収し、

 

粘土の付着分も全て洗浄しなければなりません。

 

 

もし粘土の破片が、

 

ピストンとシリンダーの隙間に入ってしまったら?

 

もし粘土の破片が、

 

バルブとバルブシートの隙間に噛んでしまったら?

 

正直、そういうリスクも想定できる作業です。

 

 

毎回このチェックを行うときは、胃が痛くなります。

 

破片が落ちたらアウト!

 

今回は、純正のボルトを使用してますので・・・

 

塑性域角度締め付け法を用いて組み付けている部品もあります。

 

新品ボルトだから大丈夫!!

 

という方もおられますが、

 

ボルトの弾性域と塑性域を理解していれば、

 

塑性域で組み付けたボルトを再使用するリスク。。。

 

万が一、エンジンを始動中にボルトが破断してしまった時は、

 

誰が責任を取る?

 

誰がその損害を補填してくれる??

 

という話になれば、新品のボルトで組みますよね。

 

 

色々な意味で、

 

一般のユーザー様には解らないも多いと思います。

 

このような作業を含め、

 

違う視点での“明朗会計”という話になれば、

 

とんでもない金額の仕事量になりますよね!

 

 

単に、安さ、安さで比較するのではなく、

 

ユーザー様には見えない部分で作業を行っているお店もある。

 

ということを少しでも知って頂ければ!

 

と思います。