バルブステムシール。。。
トヨタ自動車では、
バルブステムオイルシールというのが正式名ですが、
中々お見せする機会が少ないので掲載したいと思います。
こちらの部品は、
バルブステムに組み付けるオイルシールで、
バルブステムは映っておりませんが、
イメージ的には↓こんな感じに装着されます。
もちろんバルブのエンド部(右側)には、
バルブリフターとシムが組付けられます。
バルブリフターがカム(山)で押されることにより、
バルブエンドが押され、バルブが開く。
という構造になっております。
ですから、カム山が高くなれば、
(これをカムのリフト量と言います)
バルブが押される距離が長くなります。
それに合わせて、山の稜線(角度)が変わります。
これを“カムプロフィール”と呼ばれております。
バルブステムオイルシールは、
高速で上下に動くバルブを密閉し、
シリンダーヘッド内のオイルを燃焼室に漏れないよう、
エンジンオイルの密閉も行っております。
このバルブステムオイルシールが摩耗すると、
シーリングが出来なくなり、
シリンダーヘッド内のエンジンオイルが、
バルブステムオイルシールの隙間から燃焼室に漏れ、
(これを“オイル下がり”と言います)
本来燃やすはずの無い、エンジンオイルを燃やしてしまいます。
これによって、オイルカスが燃焼室に付着したり、
触媒に蓄積して、排気管を詰まらせる原因になります。
またセンサーに付着することで、
誤作動を起こしてしまう原因にもなります。
こちらのバルブステムオイルシールは、
1本のバルブに付き、1個装着されています。
16バルブエンジンであれば、16個。
24バルブエンジンであれば、24個。
その内の1個が不具合を発生すれば…
エンジンの圧縮漏れを発生したり、
エンジンオイルを燃焼室に漏らしてしまいます。
数が多くなれば、不具合の確率は増えます。
もちろんエンジンオーバーホールを行う際は、
バルブステムオイルシールを全て新品に交換します。
と言うことで、
ジャブジャブ洗ったシリンダーヘッドを乾かし、
バルブステムオイルシールを組付けました。
正直、エンジンの使い方によって耐久性は変わりますが、
一般的な街乗りレベルであれば、
10年、10万キロ以上耐えてくれると思います。
さて、バルブステムオイルシールを組付けたら、
シリンダーヘッドにバルブを組付け、
バルブリフターとカムとのクリアランスを計測し、
シム調整という作業を行います。
AE101やAE111に搭載されている20Vエンジンは、
インナーシムが採用されております。
シムを交換するには、毎回カムを外し、
バルブリフターを外さなければなりません。
かなり手間の掛かるエンジンです。
もちろんインナーシムを採用するには、
それなりの理由もあります。
この辺のお話は、後日お話をしたいと思います。