汚れたパーツを洗浄することで… | ボメックスいさかのひとり言……

汚れたパーツを洗浄することで…

汚れで隠れていた部分が見えて来る。

 

ということは・・・

 

こちらのブログをお読みの方であれば、

 

ご理解頂いていることと思います。

 

 

エンジンパーツに関しては、

 

さらに磨き出しを行うことによって、

 

洗浄だけでは見えないモノが見えて来ます。

 

 

また、エンジンパーツに関しては、

 

取り外した部品やメタルなどを検証することで、

 

エンジンの状態やこの先のプラスとなるヒントが、

 

見えて来ることもあります。

 

 

パーツをバラシて、消耗品を交換して組み上げる。

 

確かにそれも作業としては成立する部分もありますが、

 

“より精度が良い”であったり、

 

“より耐久性のある”といった、

 

“より良い”を求めて行くのであれば、

 

“取り外したパーツ類を検証する”ということが大切だと思います。

 

 

“検証する”という点では、

 

エアツールや電動工具を使用せず、

 

“手作業でパーツを取り外す”ということも検証の1つです。

 

 

ボルト1本とっても、

 

スムーズに外れないボルトは、

 

スムーズに外れない理由(不具合)がある。

 

不具合によっては、

 

組付けを行う際に不具合を起こす可能性がある。

 

その不具合は、修正をすることで改善することができるか?

 

新品に交換しなければ改善することができないのか?

 

なぜそのような不具合が発生したのか?

 

これらを考察することで、

 

“より良い”という結果を得られることができると思います。

 

 

以下の内容は、

 

部品を取り外す際に気が付いたものではありますが、

 

エンジンの加工を行う前に、確認したいと思います。

 

 

エンジン作業の場合ですと…

 

まずは、現状のメタル(ベアリング)の摩耗状態と、

 

過去のブログでも掲載致しましたが、

 

ピストンスカートの摩耗をチェックする様にしています。

 

 

まずは↓ピストンスカートの摩耗。

 

 

もちろんピストンスカートの摩耗の相手は、

 

シリンダーブロックのシリンダー内になります。

 

ピストンが擦れていれば、当然相手側も擦れています。

 

擦れることによって、どのくらい摩耗しているのか?

 

摩耗は、どのくらい摩耗しているのか?

 

そもそも摩耗は、何が原因であるのか?

 

先を見据えていくと、摩耗をした部品は再使用できるのか?

 

ということを考察していきます。

 

 

また、メタル(ベアリング)の摩耗もしかり。

 

↓こちらはコンロッド大端部に使用していたメタル。

 

 

左から1番、2番、3番、4番。

 

4気筒のエンジンですから4セットになります。

 

4番のコンロッドメタルには、引きづったようなキズがあります。

 

 

↓このキズは、何が原因であるのか??

 

 

それぞれのメタルの消耗具合も検証しつつ、原因を考えます。

 

 

また、メタルの裏側も検証します。

 

 

 

取り外したメタルは、10万キロ以上使用しているものですので、

 

再使用は致しませんが…

 

再使用しないから“ゴミ箱へ直行”ということでは無く、

 

摩耗具合や汚れ具合を検証→考察することで、

 

対策方法などを考えることができる、お宝的な部品だと思います。

 

 

↓こちらはクランクメタル(ベアリング)。

 

 

クランクメタルも同様に、表側、裏側の検証も行います。

 

また、メタルとの干渉部も併せて検証していきます。

 

 

 

メタルの表面にスリキズが入っていれば、

 

当然、受け側にもスリキズが入っているはずです。

 

 

摩耗具合を含め、検証していきます。

 

目視と計測器を使って、どのくらい摩耗しているのか?

 

部品として、再使用することができるのか??

 

その先の作業を見据えると・・・

 

計測値がメタルの厚さを決めるポイントになりますので、

 

しっかり計測を行うことで、

 

二度手間、三度手間を無くすことにもつながります。

 

 

正直、手磨き鏡面作業は、手間と時間が掛かります。

 

そこは仕方の無いことだと思います。

 

だからと言って、二度手間、三度手間という作業は、

 

良い時間の使い方ではありませんよね??

 

 

最近は、生産性を向上させる。

 

という言葉を良く耳に致しますが、

 

必要な作業と、単なる手間はイコールではありません。

 

意味をしっかり理解して頂きたいと思います。

 

 

正直、4気筒のクランクシャフト1本磨くのに…

 

2時間費やしました。。。

 

 

これは無駄な作業では無いと思っております。

 

ビジネス的な要素で考えると、

 

2時間分の費用を請求できるのか??

 

と言えば、決して頂けるものではありませんが…

 

色々な意味でね、オーバーホールという作業を引き受ける。

 

と言うのは、利益率の低い仕事を引き受ける。

 

という話になるわけです(笑)

 

だから、やりたがらない。

 

他の仕事を行っていた方が利益になる。

 

利益×利益が先に行ってしまえば、

 

この様な作業を行うところは少なくなってしまいますし、

 

それと同時に、エンジンに関する技術力も衰退していく。。。

 

 

偶然にも、トヨタ自動車の会長が、

 

エンジンの技術を残して行かなければならない。

 

という発言をされておりましたが…

 

同じトヨタの看板を掲げる自動車販売店ディーラー様も、

 

殆どエンジンの内部は触らない。

 

むしろ、この手の仕事は“ぶん投げて”しまう。。。

 

ここでいう“ぶん投げる”は、外注に出してしまう。

 

(この会社にも年に、10件くらいはご相談を頂いております。)

 

というのが現状なんですよね。

 

そこはね、現状を把握された方が良いと思います。

 

 

 

まぁ、オーバーホール作業…

 

どこまで作業を行う??

 

どこまで部品を交換する??

 

という部分を含め、

 

正直、どこでも同じ作業をしているわけではありません。

 

ですから、当然、金額の差も出て来るものです。

 

 

以前、こちらのブログでMCRの小林氏のお話を致しましたが、

 

安い仕事はしない。。。

 

のでは無く、エンジンチューナーとしてベストな仕事を行う。

 

“より精度の良い”、“より耐久性のある”。

 

またチューニングであれば、“よりパワーのある”。

 

という作業を行っていけば、

 

正直、それだけ手間とノウハウを必要とする作業になる。

 

ということを“なんとなく”で構いませんので、

 

ご理解頂ければと思います。

 

 

そうそう…

 

ちょうどタイミングが良かったので、

 

4Aのピストンとバイクのピストンを撮影しました。

 

 

ホント、バイクのピストンが玩具みたいですよね!

 

単純に、4Aピストンが400cc。

 

バイクのピストンが250cc÷2で125ccですから…

 

こんな感じなんでしょうね!

 

 

逆に、こんな小さなピストンがバイクのエンジンとして、

 

人を乗せて、何千キロ、何万キロも走ってしまうわけですから、

 

ある意味、凄いですよね!!