盆栽をやっていると、どうしても鉢というものと無縁でいることはできません。
培養中ならいざ知らず、飾ったりするのに素焼きという訳にはいきませんからね。
いわゆる泥(でい)物というのは、一般に松柏類に使う鉢です。
これは松などのどっしりとしていて、且つ侘びた樹に似合うからなんでしょう。
松柏、特に天場に使う黒松の模様木などは、雲脚で大地にしっかり根を下ろしたような安定感が似合います。
さて、この写真の鉢ですが、昨日立ち寄った立春大市の中の知っているお店で貰ってきました。
いわゆる新渡(しんと)と言われる、昭和渡りの安物の支那鉢です。
ただ、土は中国の良い土なので、写真のように時代の乗り方は思いの他良いです。
その以前の蔵者の方が、良く使いこんでいたんでしょうね。
どんな鉢であれ、良く使い込んだ鉢というものは、どこか惹かれるものがあります。
折角、何かの縁で手に入れた物ですから、今度の植え替えで小さい杜松でも植えてみましょうか。
そうして私が何十年か使い、その後も誰かに使い続けられれば、もう誰も「新渡」などという人はないでしょう。