ワード単価について考えを改めつつある。
なんとか翻訳一本で家族を養っていくだけの収入を得ているものの、この状況をこれからも維持していけるのかが問題だ。
しかも、土日の半分以上は仕事に費やし、家族との時間も制限している現状だ。
世のサラリーマン諸氏に比べるとそれでも楽なのかもしれない。
しかし、いまさらながらフリーランスはハイリスクだ。
何の保証もない。
自分の腕一本で稼ぎ出さなければならない。
病気やけがはいうまでもなく、所用で仕事ができなくなればたちまち収入は落ちる。
10年後、20年後に、はたして今と同じ作業量を健康にこなせるのか?
こなせなければ、収入は今より減る。
子供を無事に大学まで卒業させられるか。
生活保護になるのか?
それより、生きていけるのか?
特に最近は、機械翻訳のPEを導入するクライアントが増えている。
その方がコストがかからないからだ。
確かに、マニュアルなど簡単な文章は、機械翻訳+PEで十分な時代が来るだろう。
翻訳者はそれ以外の、機械翻訳ではまったく歯が立たないものを翻訳できるようにしておくべきだと思う。
たとえば、ホワイトペーパーや各種記事などがある。これらについて、他の追随を許さないほどのクオリティを確保できなければ、翻訳者としてこの先やっていくのは非常に困難なのではないだろうか。翻訳が趣味で、お金には関係なく翻訳ができれば幸せという人を除いて、翻訳で生活を支えようという人にとっては、厳しい時代だ。
そこで、IT翻訳でのワード単価を考える。
ワード単価はトライアルを受けた後の契約で決まる。
その後、いくらその会社のエース級の翻訳者として重宝されようが、「単価を上げましょうか」などと話を持ちかけられることは絶対にない。
いままでは、ほとんど相手の言い値で契約していたので、どの社の単価も安いままなのだ。
単価を上げたい。
でも単価交渉をした結果、単価が上がったはいいが、仕事が来なくなっても困る。
そういうふうに考えていた。
現状、自分の受けている翻訳にはさまざまな種類がある。
・ホワイトペーパーやWeb記事のいわゆる読み物系
・設計仕様書、要件定義
・ソフトウェア、システムのマニュアル、ヘルプ
主にこんなところだが、最初の2つはマニュアルなどに比べて難易度が高い。もちろん、時間もかかる。でも単価は一律。
本来難易度の高いもののの単価を高いというのが、あるべき姿だと思うが。
とりあえず、時機を見て、既存の会社には単価交渉をしてみようと思う。
新規にトライアルを受けるときは、最初から高い値段を提示したいと思う。
そのためには、まず実力を付けることが必要。
交渉できるだけの結果を、毎回の案件で残すことだ。