ポストエディットって知っていますか?略してPEと呼ばれます。
要は、機械翻訳を経た文章を編集して訳文として完成させる作業のことです。
最近、この手の仕事を打診されることが多くなってきました。
企業はとにかく翻訳にコストを掛けたくないというのが本音なのではないでしょうか。
Tradosの利用を前提とした傾斜料金はよく知られていますが、とうとうPEで済まそうという時代の流れに入ってきているようです。
PEの料金は安いのです。
通常の翻訳料金の半額です。
ソースクライアント、翻訳会社ともに、通常翻訳に比べ倍の処理速度が実現できると思っているようです。
が、そんなことは決してありません。
翻訳はそんなに甘いものではないと思うのです。
はっきり言って機械翻訳の訳文は使い物になりません。
機械翻訳を経たものでも、用語集の用語が完全に適用されていればまだよいほうです。
用語集に反する用語などが適用されていると、機械翻訳された文の要素を部品として利用することもできないわけです。
私なんか、機械翻訳の文をすべて消去して、訳文を新規で作ります。
原文と機械翻訳を見比べて修正するって、結構時間がかかるんです。
うまくない翻訳者のチェックをしているのと同じですからね。
それだったら、自分で訳しなおしたほうが早いんです。
原文を読むということは、その時点で訳文が頭の中で出てくるものなんです。
ふつう、プロの翻訳者であれば。
PEの作業では、原文を読み、機械翻訳を読み、差分を見つけ、パッチとなる部品を考え、修正し、という数多くのプロセスを経ることになります。
しかも、ソースクライアントからは「修正しすぎない」よう指示されることがあります。つまり、修正しすぎると後々、訳文を再利用できなくなる、という理屈です。
そうすると、どうなるか。
文脈を無視した訳文ができあがります。
普通に翻訳したら、絶対にそうならないのに。
残念ですね。