怒気は損気
昨日、路地で母親と小さな子供が自転車二人乗りをしている姿を見かけた。
母親が運転するその自転車はふらふらと不安定。
そして案の定、向かいを歩行している一人の男性に危うくぶつかりそうになったのです。
母親は「済みません」とふらふらしながら一生懸命謝っていた。
その男性も別段怒ることもなくそのまま歩いていった。
母親が後ろの荷台に乗っている小さな子供に
「お母さんは運転が下手だね」
と言ったら、その男の子は高い声で
「よそ見ばっかしてるからだよ」
とお母さんを注意していた。その言い方、光景が何とも可愛く感じたと同時に私の遥か昔の記憶が頭の中に蘇った。
まだ幼稚園生の頃だったと思います。
私も同じように母親が運転する荷台に乗っかっていたところ、向かいから凄いスピードで乱暴に自転車を運転してきた大学生くらいの男性とぶつかりそうになったことがありました。
母は間一髪のところで自転車を止めたら、その男性が
「アブねーなー、気をつけろよ、ばばぁー」
と怒鳴りつけました。母は状況からしてその男性の方が悪いと思ったのでしょう、
「そっちがぶつかりそうになったんでしょ!」
と言い返した。そしたらその男性も
「そっちの方がぶつかりそうになったんだろ」
と乱暴な口調で言い返す。
しばらく討論後、結局その男性は憎まれ口を吐いて去っていった。
私は母が他人と言い争いをしたところを見たことがありませんでした。あまりにも衝撃的で悔しかったので
「お父さんに言いつけようね」
と言ったら、母は
「お父さんには言わなくていいからね、言っちゃ駄目よ」
と止められました。
その時はなぜ言っていけないのか分かりませんでした。
今考えると、きっとそんなつまらない口論を父には知られたくなかったのでしょう。
昨日のとある親子の微笑ましい光景を見て、二度と思い出すこともないような遠い昔の出来事をふと思い出したのでした。