偉人
先日、高校の同窓会があった。
卒業してから20年。
担任の先生は、当時52歳だったから、現在は72歳になられた。
当時から老けていたので、あまり変わりはないだろうと思っていたのだが、声はしっかりしているが、体調が思わしくなかったらしく、その場にいるのも辛そうで、弱々しく見えた。
この先生は、花植え、雑草刈り等の畑仕事が好きで、時間が空くと、職員室でお茶を飲んでいるのではなく、一年中、いつも学校内の広い敷地のどこかで、野良仕事をしていた。
体育の先生だったのだが、他の体育の先生と違って、いつも古い型のジャージを着ていた。
きちんと小奇麗にしているのだが、持つ物や身なりにこだわりがない人であった。
外部の人が、野良仕事をしている先生の姿を見れば、間違いなく、熱心な用務員のおじさんにしか見えない人であった。
何の報酬もないのに、ひたすら野良仕事をしていた先生は、他の先生からも、生徒からも、少々変わり者として見られていた感がある。
それでも、そんな目を感じることなく、せっせこと野良仕事に励んでいた。
決して人には手伝いを強制しなかった。そして誰も手伝っていなかった。
当時、駄目生徒だった私は、先生の教えをあまり覚えていない。
その中でも唯一出てくる教えが、‘10分前行動’。
‘何をするにも、10分前には、そこにいるようにしましょう。’
人の目を気にすることなく、自分の好きなことに打ち込む先生こそ、真のカルマ・ヨーギーである。
歳を重ねるごとに、先生の人格の素晴らしさに感動してくる。
そんな先生が、先日、帰り際に、皆にこう言った。
‘今日は、本当に有難うございました。私は、次回の集まりに恐らく参加出来ないと思いますが、皆は元気で、こうして、また楽しく集まってください。’
偉人というのは、本やテレビの中だけに存在するのではなく、自分に近いところ、しかも隣にもいるものだということを、つくづく感じさせられた。